ジュリーwithザ・ワイルドワンズ《渚でシャララ》 やっぱ、最高のラヴソングです!

加瀬邦彦

郷愁を誘う古き良き時代のラヴソングをシンプルに歌うことは、直接的ではないけれど反戦、反原発のメッセージにはならないのでしょうか? 戦後70年余り、おおらかにラヴソングを歌える幸せ。このような日常の何でもない暮らしを守ることこそ、僕たちの願いです。

キナ臭い世界情勢に気持ちを合わせ、戦闘的になることなく、バランスのとれた中庸のスタンスを保つには、やっぱりジュリーのラヴソングなのです(なんでだ?)。

からす

ジュリーに関する思い出話を一つ。

母親のジュリー狂いは、《勝手にしやがれ》日本レコード大賞を受賞した当時がピーク。今でいう〈追っかけ〉ファンの走りで御座います。
親子6人、父親の薄給をたよりに、慎ましやかに生活している中、その〈追っかけ〉の活動資金をどこから工面していたかは未だに謎なのですが、沢田研二が二年連続日本レコード大賞受賞を狙った1978年の年末の授賞式。
何故かその会場にいたのです。 そう、ジュリー狂の母親と、付き添いの僕。

からす

懸賞マニアの母親は、普段からどうでもいいくだらない景品をちょくちょく当てては皆んなに自慢するので、家族から馬鹿にされておったのですが、その年の10月、ドカーンと一発、大物が当たってしまったのです!

第20回日本レコード大賞授賞式・ペア観覧券+福岡からの往復航空チケット二人分+東京第一ホテル宿泊券二人分!!!!!!!!!!!

そんなものなんの興味もない僕は、狂喜乱舞の母親を横目に、当時ハマっていたイーグルス「ホテル・カリフォルニア」なんかを聴いております。
当然、姉達の誰かを誘って行くものと思っていた所、もう既に色気づいてた姉達は、ジュリーより現実の恋愛に忙しく、スケジュールが合いません。なんとなくいやな圧を感じ、恐る恐る母親を見るとバッチリ目が合ってしまいます。

「あんた、一緒にいかんね? 東京に、連れて行っちゃるけ。」

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…という訳で、そんなに興味のないまま、母親との東京旅行。高校時代、修学旅行で一度東京へ行ったのですが、東京に着いた途端、バツ悪く喫煙が見つかってしまい、何処にも行けずにその場で停学処分。実質、初の東京旅行で御座います。新宿やアメ横を楽しみにいざ出発。

話が長くなりそうなので、日本レコード大賞授賞式の部分だけを抜粋。

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よそいきの母親と僕、会場の帝国劇場に入った瞬間ガチガチの緊張マックスで、おのぼりさん丸出しです。しかし、幼年期から母親の影響で歌謡曲が大好きなこともあり、一発でフルオーケストラの音とキラビヤカな舞台や照明に魅せられます。そして登場する歌い手さん達が全員、可愛いこと!カッコいいこと!

特に感動したのが、僕の席の左通路を通過した山口百恵でした。「細っ!」「顔ちっちゃ!」「無茶苦茶可愛いやん!」と小学生レベルの感想。  そしていよいよ真打、沢田研二の登場!

「背ぇちっちゃ!しかも猫背!」これが初めて見た生ジュリーの第一印象。しかし、ビジュアル的には最も美しい全盛期のジュリー、歌いだすとカッコいいし、キラッキラに輝いており、この世にこんなに綺麗な男の人が存在するのかと呆然。そして初めて見た沢山の一流芸能人たちと僕ら一般人とはこれほどまでに違うのかと、そのレベルの差に愕然。
「全部負けとる……。」(何で比べる?)と 独り言。

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大賞はレコード売り上げで断然トップのピンクレディーと、二年連続受賞なるか?の沢田研二の一騎打ち。結局、ピンクレディーの大賞受賞で幕を閉じたのですが、司会者の「大賞はピンクレディー〈UFO〉!」の声が会場に響き渡った瞬間、観客全体の〈ウッソォーーーーーッ!〉という重ぉーい空気感はハンパなく、ファンでも何でもない僕でさえ、「ピンクレディー、かわいそ…。」と心でつぶやいたのであります。

しかしその後が大変です。ホテルまでの帰路、延々と続く母親の愚痴。「絶対ジュリーが一等賞やったよネェ、何でピンクレディなん?おかしいやん、ねえ、ねえっちゃ!あんたもそう思うやろ!!」ここで反論でもしようものなら旅行中、ずぅーーーーーと不機嫌が続くのは目に見えておるので、「う、うん、そうやねぇ。」と一言返して沈黙の行。

カラス

で、やっと本題の加瀬邦彦とザ・ワイルドワンズ

ジュリー加瀬邦彦の曲は、グループサウンズ時代から相性抜群で、加瀬邦彦の優しくも切ないメロディーラインにジュリーの甘い歌声が乗っかると、昭和歌謡曲独特の何ともいえないネットリ感を醸し出すのです。

惜しくも、2015年4月、享年74才にして亡くなられた加瀬邦彦。昭和を代表する日本歌謡界の大作曲家であり名プロデューサーでもあった、加瀬邦彦の偉業は、もっともっと評価されて然るべきだと思います。

からす

ここでジュリーとは関係ないのですが、ももいろクローバーZのファンとして一つ書かせて下さい。

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2012年加瀬邦彦は、ももクロのリーダー百田夏菜子に《渚のラララ》とうい曲を提供してくれてます。この何の意味もないスカスカのラブソング(最大限の褒め言葉)は、同じく天真爛漫でスカスカのアホな夏菜子にぴったりな夏の渚のラブソングなのです。その年、ももクロ横浜アリーナのコンサートで、《百田夏菜子 with ザ・ワイルドワンズ》として、ワイルドワンズのメンバーとともにゲスト出演をしてくれます。はい、《ジュリーwithザ・ワイルドワンズ》の完全なパクリでございます。本当に申し訳ございません。

このステージが僕が見た加瀬邦彦の最後の姿でした。あの人なつこい最高の笑顔と12弦ギターの音は、未だに忘れません。

からす

二週間程前、このブログでジュリーの記事を書いて以来、《渚でシャララ》のフレーズが頭から離れないのです。

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ジュリーの甘い歌声に湘南サウンズのさわやかなメロディーライン。12弦ギターワイルドワンズの懐かしいコーラスが重なれば、何故か「涙がこぼれちゃう」

サビの部分は、ジュリーの声が一番美しく響く音域に、意図的に合わせているようでとっても色っぽいのです。男の僕でも抱かれたくなるほどに、ジュンとしてしまいます。

ジュリーを一番わかっている加瀬邦彦だからこその技なのでしょうか?

また、60過ぎたジジイ5人が、目の覚める様なブルーのスーツに、鷹?のかぶり物をして、南流石の手によるGS時代を彷彿させる振り付けで、踊って歌ってくれた日には、もう楽しくて泣かずにはおれません。《渚でシャララ》MV、何度みたことか。

改めてネットで検索してみると、〈ひるおび!〉のテーマソングになっていたり、SMAP×SMAPに出演していたりと、当時は結構マジなキャンペーンをやっていたのですね。MV、レベル高いはずです。(でも、もっとヒットして欲しかった…)

からす

歌謡曲や、純粋なヒット曲の消滅した現代、昭和歌謡曲GSの楽しさを今一度世に問いたい!何の意味もないスカスカのラブソング(しつこいですが褒め言葉なのです)。しかし、ジュリーが楽しく歌い踊るだけで、内包する思いやりや優しさが滲み出て、それだけで反戦、反原発のりっぱな啓発ソングになるはずなのです。

♪傷つけあうよりホホエミ選んで、つのる想いは砂に隠して♪

反戦、反原発を語れないクソみたいな日本のメディアであるなら、皆さん!ジュリーと今は亡き加瀬邦彦の想いをのせて、〈ええじゃないか〉よろしく、《渚でシャララ》を歌い踊ろうではありませんか!

昔からのジュリーファンのマダム達の《渚でシャララ》でのグループダンス、見てみたいなぁ。《恋するフォーチュンクッキー踊ってみた》的なの、誰かニコ動に投稿してくれないかなぁ…。

からす

というわけで、只今《渚でシャララ・再ヒット祈願》絶賛実施中なのであります(たった一人でただ祈っておるだけなのですが……)。

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おしまい