リリース当初はA面だった《銀河のロマンス》。その後B面の《花の首飾り》の方が大好評となり、急遽B面に格下げされた可愛そうな《銀河のロマンス》。しかしながらそのメロディーの美しさは群を抜いており、当時純情可憐な少女だったジュリーファンのお姉さま方は半世紀の時を越え、今なお瞳一杯にお星さまを輝かせ、「ジュリー―――ッ!!」と悶え苦しんでいるとか、いないとか。
はい、ほぼ一年振りのブログ更新で、沢田研二主演映画《土を喰らう十二ヵ月》を上げたところ、当ブログを見捨てることなくお越し下さった、たくさんのジュリーファンのお姉さま方に感謝の意を込めまして、沢田研二がまだ星の王子様だったころ(あっ、今でもそうですスイマセン)の楽曲《銀河のロマンス》に関するお話をお届け。いつものように展開されるイジリの数々はけっしてディスりではありませんのでお許しを(小心者のくせにコンプライアンス違反しまくりの口の悪いジジィの僕は、今の時代常にビビりまくって生活しておるのです)。
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日本初の本格アイドル映画《世界は僕らを待っている》で歌われた主題歌。《土を喰らう十二ヵ月》とはド対極の、ほぼほぼ内容のないスッカスカのラブコメミュージカルの素晴らしすぎる映画だったのですが、なんといっても全曲《作曲・編曲》を担当したすぎやまこういちの美しいメロディーの数々は当時小学生だった僕の琴線に触れまくった訳なのです。
中でもこの曲《銀河のロマンス》は、旋律もさることながらそのアレンジは、MGMミュージカルのような壮大さを感じさせ、僕たちを銀河の宇宙へと誘ってくれたのです。更には ♪シャララララ~のコーラスとメンバーのとろける様なハーモニー、そして流れるようなストリングスはジュリーの甘い歌声と相まってことのほか美しく、しおれたりジジィになった僕でも、この曲を聴けばいつでもプラトニックな妄想に浸れるのです。
ザ・タイガース《銀河のロマンス》
作詞:橋本淳
作曲:すぎやまこういち
編曲:すぎやまこういち
銀河にうかべた 白い小舟
あなたと訪ねた 夢のふるさと
シルヴィー・マイ・ラヴ(シャラララララ)
シルヴィー・マイ・ラヴ
マイ・ラヴ
アイ・ラヴ・ユー 燃えるほほに
美しい愛のくちづけ
青いしづくは月の涙
恋するぼくらの ため息にゆれる
シルヴィー・マイ・ラヴ(シャラララララ)
シルヴィー・マイ・ラヴ
マイ・ラヴ
シルヴィー・マイ・ラヴ(シャラララララ)
シルヴィー・マイ・ラヴ
マイ・ラヴ
アイ・ラヴ・ユー 燃えるほほに
美しい愛のくちづけ
流れるような バラの香り
瞳をとじて 甘えておくれ
シルヴィー・マイ・ラヴ(シャラララララ)
シルヴィー・マイ・ラヴ
マイ・ラヴ
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もう、凄まじいばかりの内容のなさ! ラヴソングはこうでないといけません。クソつまらん意味なんかあっちゃ駄目なのです。
そう、ただひたすらに愛を語るシャララなぼくたちは、白い小舟で銀河の宇宙にだって行けちゃうのです! 月の涙の青いしずくでさえ、恋するぼくらのため息にゆれてしまうのです! シャララなぼくたちの美しすぎる愛のくちづけは、流れるようなバラの香りがするのです!そう、だれが何と言おうともたしかに香るのです! そしてそして、愛するシルヴィーちゃんは瞳をとじて僕の胸で甘えてくれるのです。
はっ? わたくし神に誓ってディスってなんかいませんよっ! 本当に大好きなんです《銀河のロマンス》!
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映画《土を喰らう十二ヵ月》が教えてくれたように人生は今この瞬間がすべて。恋に理屈は要りません。そう、吉田拓郎も歌っています
♪たしかな事など何も無く ただひたすらに君が好き♪ ただそれだけだと。
![](https://blog.akiyoshi-zoukei.com/katsu/wp-content/uploads/2022/12/image-1.png)
秋の夜長、しおれたジジィの妄想はさらに膨らみ、くだらないショートショートが出来上がってしまいました。もしかしたら《銀河のロマンス》の壮大さや美しさを台無しにしてしまうかもしれませんが、もしお時間が許すのであれば、ご覧いただければ幸いです。
![ショートショート](https://blog.akiyoshi-zoukei.com/katsu/wp-content/uploads/2017/11/gekijyou-min-680x61.jpg)
銀杏公園の大銀杏が、鮮やかな黄蘗色へと移ろいゆく頃、ギターケースを抱えた少年がとぼとぼと歩きながら大銀杏の傍らにある、古ぼけたベンチに近づいてきます。 あたりを見渡し誰もいないことを確認するとベンチに腰掛けケースからおもむろにギターを取り出し、歌本(雑誌平凡の付録)のページを開きます。 そこには今をときめくザ・タイガース《銀河のロマンス》のコード譜が。
イントロはCから始まる比較的弾きやすい楽曲なのですがこの少年、ギターを始めて間もないらしく初心者最大の壁、Fへのコードチェンジがおぼつきません。それでも何とか蚊の鳴くような声で歌い始めます。
その様子を公園と隣接する住宅の二階の窓からなんとなく眺めている少女がひとり。
![](https://blog.akiyoshi-zoukei.com/katsu/wp-content/uploads/2022/12/image-2.png)
少年 ♪銀河に浮かべた
少女 声ちっちゃ…
少年 ♪白い小舟
少女 もっと声はらないと…
少年 ♪あなたと訪ねた
少女 ギター… へたっ。
少年 ♪夢のふるさと
少女 リズム感最悪…
少年 (大きく音程を外しながら)♪シルビー・マイラブ
少女 ガハハハハハハハッ!
少年はその大きな笑い声で、二階の窓の少女に気付きます。
少年 な、なんなんですかあなたは
少女 あなたこそこの静かで美しい晩秋の銀杏公園で何てことをしてくれているのですか? ほら、美しく輝いていた大銀杏の紅葉が、今一斉にきったない枯れ葉色に…。
少年 日が暮れて暗くなっただけでしょう。
少女 で、今のはもしかして歌?
少年 失礼な! ぼ、ぼくはジュリーのようなミュージシャンを目指して…
少女 あっ無理無理、才能無いから諦めなさい。
少年 今から沢山練習してもっともっと上手くなって…
少女 そのギターのチューニングで気持ち悪くない時点ではい、終了ーーーっ! 音楽家の命は耳のよさ!更に致命的なのはその声量のなさ、リズム感のなさ、音程の不確かさ、
少年 あなたになにがわかるのですか? ド素人のくせに。
少女 残念ながらわたくし、全日本合唱コンクール全国大会中学校部門で金賞に導いた合唱部の部長だったのでございます。
少年 だった?
少女 わたくしのレベルがあまりにも高いのと、生まれついての毒舌で部員全員にうとまれ総シカトされ今に至る(キッパリ)。
少年 今に至るって…
少女 はい、わたくしただいま絶賛引きこもり状態なのでございます。ポジティブシィンギングな明るい引きこもり少女でございます。
少年 部員全員に総シカトされてよく明るく引きこもれますね。
少女 人生悔やんでもしょうがない、今は求められなくともいつかきっと求められる日がやってくるっ! 明けない夜はないのです!
少年 じゃあ、僕の歌も皆に求められる日がきっと来るんだぁ!
少女 あっ無理無理、あなたにだけには絶対にその日は来ないからキッパリと諦めなさい。
少年 くーーーーーーっ!(泣)
少年は泣きながらギターをケースに収め、すっかり日の暮れた銀杏公園をとぼとぼと去って行きました。
●次の日
一晩寝て何とか気持ちを持ち直したギター少年は今日も同じ時刻に銀杏公園に現れます。 隣接の二階家の窓に昨日の少女がいないのをしっかりたしかめ《銀河のロマンス》を弾き語ります。
少年 ♪銀河に
(食い気味に)二階家の窓が勢いよく開かれ
少女 うるさーーーーーーいっ!
少年 わっ! またでた!
少女 今日も性懲りもなくやってきましたか、絶望少年!
少年 絶望はしていない!
少女 大丈夫、大丈夫。 明るく絶望していれば死にはしません。
少年 僕は大きな希望をもって練習しているのだから、ほっといてください!
少女 わたくしの庭、この銀杏公園の平穏を乱す輩をほっとくわけにはいきませんっ!
少年 そんなにひどいですか、僕の歌。
少女 それすらもわからない絶望的な耳の悪さ。
少年 で、でも何の取り柄もない僕が、ジュリーのように女子からワーキャー言われるようになるにはこれしかないんですぅーーっ(泣)
少女 かぁーーーーっ! 最低最悪、クソみたいな動機。
少年 ジュリーのように甘く囁くように《銀河のロマンス》うまく歌ってワーキャー言われたいよーーーーーっ、 えーーん、えーーん(泣)
少女 泣くなっ、みっともない!
少年 ギターで愛を奏でたいよーーっ、歌で女子を口説きたいよ――ッ! えーーん、えーーん(泣)
少女 分かった、わかったから泣き止みなさい絶望少年! それほどまでに女子にワーキャー言われたいのですか?
少年 死ぬほどワーキャー言われたい…、グスン…
少女 ……… 分かりました。それでは不肖このわたくしが絶望少年の為、力になって進ぜましょう。
少年 えっ?
少女 わたくしただいま絶賛引きこもり中なので、暇つぶしに泣きべそ少年に歌を教えてあげる時間ぐらいあるのです。 が、しかーーし、死ぬほど女子にワーキャー言われたいのであれば死ぬほどの努力が必要です!
少年 死ぬほどに努力すれば、確実にワーキャーなことになるのでしょうか?
少女 全日本合唱コンクール全国大会中学校部門・金賞に導いた合唱部・部長の実力をあなどってはなりません! それでは早速、基本中の基本、ボイストレーニングからレッスン開始!
少年 えっ、今から始めるの? 今日は泣き疲れたので明日から始め…
少女 (突然豹変して) 黙れ小僧!四の五の言わず言うことを聞ききやがれ! 最低でクソみたいな動機で始めた腐りきったお前の性根を徹底的にたたき潰してやるから覚悟しやがれ! 先ずは足を肩幅に広げ腹式呼吸! 発声の基本は腹式呼吸! 腹、横腹、背中すべてに意識して大きく深く呼吸! なんだそのナヨナヨとした姿勢は! お前の死ぬほどの努力とはそんなものなのかぁーーーっ!!
部員全員に総シカトされた《鬼教官モード》に豹変した引きこもり少女に、初っ端から超スパルタ教育を受け、絶望の上に絶望を重ねながらも泣きながら必死に食らいついてゆく少年。 そう、《女子にモテたい》という最低最悪な動機は思春期の男子にとっては最強のモチベーションだったのです。
●あっという間の一年
ドS気質の少女にドM気質全開に調教されながらボイストレーニングに明け暮れた絶望少年の声量はこの一年で飛躍的に上がり、少女独特の音感トレーニングも功を奏し音程も安定、ギターの腕もそれなりに上達し、ジュリーの《銀河のロマンス》はそのビジュアルを除いて、出来上がりつつあります。
少女 継続は力なり! 才能のかけらもなかったお前の歌もギターもなんとか最低ラインには到達した。それにしても、雨の日も風の日も雪の日もこの一年、欠かさずレッスンしてあげた私はえらい! いいか、お前は一生私の下部となり感謝の限りを尽くすのだ!
少年 たしかに《銀河のロマンス》はうまく弾き語れるようになりましたが、女子からのワーキャーの方がいまだに…
少女 黙れ小僧! わたくしは歌を教えるとは言ったが、お前のその絶望的なビジュアルを整えるとは一言たりとも言った覚えはないっ!!
少年 えっ、結局はビジュアルなの? じゃぁ、死ぬほどに努力した僕のこの一年は何だったのですかっ! 蔑まれ罵倒され、時にはビンタも喰らわされ、パワハラ、セクハラの限りを受けた僕のこの一年を返せ、返しやがれ! この女詐欺師が!ペテン師がっ! えーーん、えーーん(泣)
少女 な、泣くな!泣くんじゃないっ!
少年 女子からのワーキャーが…、女子からのワーキャーが…、
少女 お前の頭蓋骨に響いているのは《女子からのワーキャー》というワードだけか?
少年 女子からのワーキャーが…、女子からのワーキャーが…、えーーん、えーーん(泣)
少女 わ、わかった、わかったからもう泣くな! 仕方がない、それでは最後の一手をお前に授けてやろう。どんな女子もメロメロに溶ける最後の一手を。
少年 えっ、どんな女子もメロメロに溶ける?
少女 そんなところの喰いつきだけは異常に早いなお前はっ!
少年 どんな女子もメロメロに溶ける一手とは?
少女 その禁断の一手とは… 《美しき夢のハーモニー》!!
少年 《美しき夢のハーモニー》?
少女 そう、音楽の醍醐味は《美しき夢のハーモニー》! 今からお前の歌う《銀河のロマンス》に私がハモリをいれてあげるから、今まで練習してきた主旋律をしっかり歌うように!
少年 (にやけながら)どんな女子もメロメロ的な《美しき夢のハーモニー》! どんな女子からもワーキャー的な《美しき夢のハーモニー》!
少女 訳のわからん事言ってないで、さっさと始めろっ、小僧!
実はこの少年、生まれつきそれなりの音楽の耳は持っており、少女の副旋律の歌声を聴きながら自分の歌声を重ね合わせ、その心地よさ美しさを瞬時に理解します。 更に少年の歌声と少女の歌声が奇跡的に相性抜群だったため、それぞれの音質が重なり合い完璧なハーモニーが奏でられると、その波動は銀杏公園全体を支配します。
音楽における完璧なハーモニーは、人々や山川草木すべてにわたって浄化します。 晩秋黄昏時の銀杏公園のすべての紅葉は、二人の奏でた《銀河のロマンス》のハーモニーによってこの世の物とは思えないほどに黄金色に光輝き始めます。
自分たちで歌っているにも関わらず、既に恍惚状態にある少年少女の二人は、なぜかメロメロに溶け合ってそれぞれの自我はほぼ消滅。少年の頭蓋骨に響いていた《女子からのワーキャー》のフレーズも、少女の引きこもりの原因である《部員全員に総シカト》の傷も、銀河の彼方に消え去り、いつのまにか二人は銀杏公園の上空を白い小舟で浮遊しています。
そう、完璧なハーモニーは完璧な反重力装置だったのです。
青いしづくは月の涙
恋するぼくらの ため息にゆれる
シルヴィー・マイ・ラヴ(シャラララララ)
シルヴィー・マイ・ラヴ
マイ・ラヴ
ブルーモーメントの空を背景に夢の故郷(シャングリラ)に漂う白い小舟、風にそよぐ大銀杏の黄金色の葉音は二人のハーモニーに誘われ ♪シャラララララ~ のバックコーラスを奏で、少年少女の《銀河のロマンス》はここに美しく成就します。
アイ・ラヴ・ユー 燃えるほほに
美しい愛のくちづけ
![おしまい](https://blog.akiyoshi-zoukei.com/katsu/wp-content/uploads/2016/10/karasu5-680x31.jpg)
桂銀淑の「北空港」の本歌取りで、数の言葉ヒフミヨ(1234)に触れる・・・
円周率
〇の一 □に逢えて
カオスな心(一)に 灯りがともる
〇と◇は一緒だよ もうなぞれたよ
コスモス(一)だよ
カオス(∞)を捨てて 時間さえ捨てて
i(アイ)が飛び立つ 一のi(アイ)
〇の一 □に惚れて
ヒフミヨ渦に πが見える
信じてもいいですね ヒフミヨ放射だけ
命(数え)尽くすわ
カオス(∞)を捨てて 時間さえ捨てて
i(アイ)が飛び立つ 一のi(アイ)
〇の一 舞い散る数も
〇と◇で 咲く花になる
どこまでも一緒だよ もう離れずに
夢(平面(√))を探そう
カオス(∞)を捨てて 時間さえ捨てて
i(アイ)が飛び立つ 一のi(アイ)