コテコテのアメリカン演歌(ブルース)を想いのまま吹きまくる《ジャッキー・マクリーン》

ジャッキー・マクリーン

学生時代、チャーリー・パーカーを夜中、大音量のヘッドホーンで聴き込んでいた時、「パーカーのアルトは地球の重力から開放されて、宇宙迄鳴り響いているのではないか?」と感じ、聴いているだけの僕迄、重力から開放された感覚になった事を覚えています(その後も、相変わらず地べたを這いずり回っておりましたが)。

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パーカーの活躍した当時のアメリカは、人種差別が凄まじく、パーカーもその胸中にはアメリカ社会に対しての様々なドス黒い思念が渦巻いていたはずですが、その演奏は何故か軽いのです。もっと言えば人の想念を大きく越えた、達観した清々しさを感じるのです。

まあそれこそが、天才の天才たる所以なのでしょうが…。

その対局に、ジョン・コルトレーン先生がおるのですか、これがこれでまた超絶素晴らしい。

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で、ジャッキー・マクリーン

チャーリー・パーカー亡き後、その影響を受けた数あるアルトサックスのプレーヤーの中で、超絶テクニックや独創的アドリブフレーズで唸らせるアルト吹きは沢山出ていますが、コッテコテでストレートに演奏しているにも拘わらず、これほど魅力的なアルト吹きは他にいませんでした。

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「ジャズとは不思議な音楽だなぁ」と、ジャッキー・マクリーンを聴くたびにいつも思います。 テクニックの素晴らしいプレーヤ(フィル・ウッズ、キャノンボール・アダレイ、ソニー・スティット等)は沢山いましたが、このジャッキー・マクリーンは、ピッチも不安定で、テンポも何か突っかかった感じで、出てくるフレーズも手グセが多い感じがあるのですが、そんなことどうでも良いと思える程、その演奏は素晴らしいのです。

僕は何故か、テクニックで圧倒するミュージシャンよりも、その人にしか出せない強烈な個性のあるミュージシャンが大好きなのですが、ジャッキー・マクリーンだけは、何が個性なのかちっとも解らないのだけど、一度聴いてしまったら、何度も聴かずにはいられないブルース魂みたいな物を感じるのです。

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若い駆け出しの頃、チャーリー・パーカーに色々な意味で大きな影響を受け、バリバリのハードバッパーで数々のミュージ シャンとのセッションを繰り返し、チャールス・ミンガスの名盤『直立猿人』の演奏や、ソニー・クラークの名盤『クール ・ストラッティン』マル・ウォルドロンの名盤『レフト・アローン』等、当時大ヒットした数々のアルバムにも参加して おり、一時期音楽活動の休止はあったものの、2006年に亡くなる迄、日本でも人気の高かったジャズメンでした。

特に名曲、マル・ウォルドロン『レフト・アローン』は、角川映画の主題曲やCMに使われたため、演奏者は知らなくて もそのアルトサックスの音色は広く知れ渡りました。

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改めて、ジャッキー・マクリーンを聞き直してみたのですが、やっぱ良いんですよ。やっぱジャズなのです。 あくまでも個人的な感想なのですが、パーカーを神とするならば、マクリーンは、人間味溢れる感情豊かなお兄ちゃん。 『苦みの効いたカカオ100%のチョコレート』ちゅー感じ?

哀愁のアルト吹き、ジャッキー・マクリーンよ永遠に!

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おしまい