50オヤジの琴線に触れまくる朝ドラの王道『ひよっこ』は、今後の展開次第では『あまちゃん』をも凌ぐかもしれない!!

ひよっこ2

主題歌・オープニング映像・美術・ナレーション・役者のキャスティング・時代背景。そして脚本のすべてがガッチリハマっていて、作り手の熱がテレビ画面からダイレクトに伝わる作品。今後、大ブレイクの予感!(僕だけ?)

久しぶりに、朝ドラにハマっております。
そう、『ひよっこ』です。

前作の『べっぴんさん』のラスト2週の視聴率が悪かったらしく、その流れで視聴率的にはイマイチのようですが、うちのかみさんの勧めで、毎朝何となく見てたのですが、これが笑かしよるし、泣かしよるんですわっ!と、思わず関西弁になっ てしまう程の出来映え!!

からす

自信を失った戦後日本が奇跡の経済成長を遂げる起点となる、東京オリンピクが始まろうとする昭和30年代。 奥茨城の農村を舞台にした、有村架純演じるみね子の成長物語。情報化社会に毒され、とんでもないスピードで時が 過ぎて行く現代社会に比べ、人の情緒や温もりを育てる温床としての地域社会がまだ存在し、誰もが未来に希望を大きく持てた光の時代でした。

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僕が昭和30年代生まれのためか、当時の社会に漂っていた優しさが、同じ様にドラマの中に漂い、毎朝、とてもよい気持ちにさせてくれるのです。

まず、オープニング桑田佳祐『若い広場』が流れると、もうたまりません。昭和歌謡曲の持っていたストレートな温もりとおおらかさ、独特のコーラスとメロディーライン。さすが昭和歌謡曲で育ち、強烈にリスペクトしている桑田佳祐だからなせる技なのでしょう。

又そのオープニング映像が素晴らしく、当時の街の様子をこれまた当時の洋服や日用品や食品等を使ったジオラマに、 CGで作った柔らかな動きの人や車を重ね、とてもアンティークな照明で演出されたもので、毎朝見る度に細かい発見がある程、見応えのある手抜き一切無しの素晴らしい仕上がりです。

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主役の有村架純が、とても素直な好感の持てる演技で空気感や匂いを作り、(役作りのため、けっこう太ったらしい)周りを固める役者さんたちも、それぞれ良い味を出しているのです。

で、何より脚本が素晴らしい! コテコテの王道の朝ドラなのですが、切なさや悲しみをより深く見せる為のスパイスとしての笑い。その逆に、より笑わせる為に常に根底に流れている哀愁や悲しみ、そのバランスが絶妙で、毎朝泣いたり笑ったり大変なのです。(この歳になると、 何でも無いシーンでも知らないうちに涙が溢れており、困ったもんです)

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朝ドラは一週間単位で起承転結を作り、なおかつ一日単位(15分間)でもそれなりのクライマックスが必要で、このドラマは、 それが見事に実現されており、毎日十分な満足感を感じさせて貰えます。

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人はみんな凸凹で、所謂まともな人なんて一人もいません。 誰もが持って生まれた資質や宿命を背負って、毎日を懸命に生きています。今は常識の枠の中に皆を押し込め、もはや出る杭も打たれる前に否応無しに型にはめられ、異端や異形が許されない世界となっています。

真摯に自分の心の中を見る事が出来れば、簡単に他人なんて批判出来ないはず(自分を棚に上げ罵詈雑言を吐く俺が言っとるんだが)。

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立川談志師匠も言っております。「落語は人間の業の全肯定」だと。

昔の日本人は、そのような心のおおらかさと、ゆとりがあったのでしょう。 最近ネットで、昔の(江戸末期から昭和初期にかけて)写真をよく眺めるのですが、何故か漂う空気感に慰められるのです。やはり写真という物もその時代の空気を映しているのでしょうね。

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話がズレてしまい、なんだか昔賛礼のようになってきましたが、朝ドラ『ひよっこ』は、人の持つあたたかさを思い出させ てくれる良質のドラマである事は間違いありません。このままの調子で最後迄突っ走って欲しいものです。

https://blog.akiyoshi-zoukei.com/katsu/post-1317

おしまい