いよいよ最終章、NHK朝ドラ《ひよっ子》を飾る超個性的な脇役達!

ひよっ子最終

これほど丁寧に脇役の背景を綴った朝ドラがあったでしょうか? 尻上がりに好調な視聴率で、いよいよ最終回を迎える《ひよっ子》 出演者全員に何らかの見せ場を与えたこの群像劇は、作り手の温かさに溢れたドラマでした。

ヤスハルが古舘伊知郎の長男だと、最近知ったアホな僕なのですが、いよいよ今月いっぱいで終わってしまう《ひよっ子》を今回は脇役の皆さんに話をしぼって、何時もの様に好き勝手に語らせていただきます。

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主役・有村架純の存在感があってこその群像劇。

このドラマにそこはかとなく流れる心地よさは、主役・有村架純の良心のような気がする今日この頃。悪人が一人も登場しない嘘の様なお話の中、それでも見てしまう魅力に綺羅星の如く 輝く、沢山の脇役の俳優さん達の存在があるのです。

中でも僕的にツボな登場人物をあげていきますと、まずは奥茨城村から、みね子の妹役ちよ子・宮原和ちゃん。今時、どこからこんな昭和顔の女の子を連れて来たんだ?と思えるほど。顔に茶色のドーランを塗ってはいるのでしょうが、いい感じの田舎顔で好感が持てる素直な演技は、とってもキュートでした。

奥茨城村のキャストは沢山の性格俳優が出演していますが、大御所、古谷一行の物言わぬ演技での存在感は流石です。宗男おじさん役の峯田和伸 は、ビートルズのくだりでは美味しい所を全部持っていった感があり、はまり役でした。みね子の高校の担任役の津田寛治や、バスの車掌役の松尾論もいい味を出していましたね。

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東京の乙女寮の乙女達も皆さんそれぞれ良かったのですが、僕的にツボだったのは、すでに映画『ソロモンの偽証』でブレイクしていた、豊子役の藤野涼子。中でも秀逸だったのは、寮内での時子との大げんかのシーン。みね子が寝た振りをしながら一部始終を聴いていたことが後からバレて、開き直って逆切れした回。

大笑いしつつ、涙と鼻水をボトボト落としながら見てしまったので、その日は朝から大変でしたが、乙女寮の中で一番好きなシーンでした。脚本は、寮内の女の子はもとより、端役の工場の主任や食堂の料理人まで見せ場を与えるほどの徹底ぶり。どの役者さんも本当に出演した甲斐があったことでしょう。

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すずふり亭やあかね荘の面々も誰一人余す所無く光を与えており、意外だったのは元AKBのぱるること島崎遥香。塩対応女王にピッタリのはまり役で、いい感じの雰囲気の演技でした。独り語りのシーンでは、まだ経験不足の感はありましたが、将来に期待です。

久しぶりに顔を見たのが、エレキコミックやついちろう。お笑いファンの僕としては、大変嬉しく思いました。ドラマーのシシドカフカも、スパイスの利いた良い役を与えられていましたね。

あかね坂商店街の住人の中では、断トツでヤスハル! 最初はそれほど存在感のある役ではなかったのですが、回が進むにつれて、ヤスハル!ヤスハル!の名前が、それこそ安っぽく連呼され、情けない顔の演技と相まって今では無くてはならない存在となっています。果たしてヤスハルは、ぱるるとは結ばれるのでしょうか? ほんの最近、古館伊知郎の長男と知って(おそいわっ!)、ビックリしたのですが、ミュージシャンでもあるらしく、今後注目のタレントさんですね。

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最後に三男の勤める米屋の娘役の伊藤沙莉ももクロ主演の映画《幕が上がる》での個性的な声と顔の演技で、忘れられないほどのインパクトがあったのですが、このドラマでもパンチの効いた演技で存在感を示しています。今後も色々なドラマで顔を見ることとなるでしょう。

しかし、最近の米屋のシーンでは、オヤジさん役の斉藤暁は出なくなりましたが、二人の恋路の邪魔になったので出番が無くなってしまったのでしょうか?

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以上、主要な登場人物以外に、思いつくだけでもこれだけの脇役を登場させ、尚かつそれぞれに光を当てる脚本と演出は、並の力量で出来るものではありません。物語の進行が遅いだの、昭和の時代考証が甘いだの、父親の記憶喪失がどうのこうのだの、否定的な意見もあるようですが、脚本家、岡田恵和の、昭和的な優しさや思いやりが、テレビ画面から終始溢れ出ており、それを感じるだけでも価値のあるドラマでは無いでしょうか?

《あまちゃん》まで、社会現象になるほどの盛り上がりは見せなかったものの、視聴率は、厳しかった初回から徐々に上向き、現在は22%前後の視聴率をとっています。作り手や役者さんにとっては、一番嬉しい終わり方になるのではないでしょうか?

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長丁場の朝ドラ主演は、役者さんにとって厳しい現場なのでしょう。どの役者さんも、精神的にも肉体的にも追い込まれて、途中で一度は壊れてしまうそう。視聴率を含め様々なプレッシャーと戦いながらの半年間の過酷さは、想像しただけでもわかること。

その中でやりきった有村架純は、女優として一回りも二回りも大きくなったことでしょう。

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久々にハマった朝ドラでしたが、来月からは、朝の楽しみが一つなくなるのかと思うと淋しい限りです。もっとヤスハルのギターの弾き語りが聴きたかった。

最後に一つだけ不満があるとすれば…、ヤスハルのギターで皆が歌った、荒木一郎《いとしのマックス》の「ゴー!」のかけ声は、あれほど元気なものではなく、やる気の無い抜けた感じでお願いしたかったのですが…。

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おしまい