あぁ麗しの昭和歌謡曲⑩ 内山田洋とクールファイブ《東京砂漠》 ムード歌謡とは一線を画した超硬派なコーラスグループ。前川清のしかめっ面にド嵌まりした、突き刺さるような恋歌。

東京砂漠

元来、演歌を毛嫌いし、ポップス志向の強かったヴォーカル・前川清。しかし、デビュー当時から演歌を歌わされ、たどりついたのがこの《東京砂漠》。ド演歌な恋歌なのだけれど、その凄みのあるゴリゴリの歌唱は、前川清にしか出せない超硬派な昭和歌謡曲だったのです!


年が明け、いよいよ東京オリンピックの開催される2020年がやってまいりました。2016年に開催されたリオオリンピックの閉会式での東京オリンピックのPRショーである《トーキョーショー》(安倍晋三が、マリオにふんして登場した例のやつ)が大好きだった僕なので、東京オリンピックの開会式が楽しみでしょうがないのです。 

中でもそのBGMを担当した《H ZETTRIO》の演奏は、今現在のTOKYOをダイレクトに表現。そのあか抜けてお洒落なジャズピアノトリオの音は《トーキョーショー》の演出を担当した椎名林檎と共に全世界に強烈なインパクトを与えました。

で、《H ZETTRIO》《椎名林檎》《東京》と揃えば日本を代表するバンドを今、僕は思い出してしまったのです。思い出してしまったものは吐き出すしか道はありません!

そう、これしかありません! 誰もが知る、内山田洋とクールファイブ《東京砂漠》をご紹介!(東京事変やないのかーーーい!)。 

その楽曲の素晴らしさを書き連ねてみようと思うのです。

からす

ここでカミングアウトいたします! 


わたくし、昭和歌謡曲(昭和40~50年代のもの)が大好きなのですが、中でもコーラスグループによるムード歌謡曲が大好きだったのです~~っ!

はい、

女々しいのですっ、

軟弱でスミマセン、

ミーハーでゴメンナサイ。

若いころはジャズがどうの、ロックがどうの、フォークがどうのとほざいておったのですが、年を重ねるに従って徐々にメッキが剥がされ、幼少期に母親の聴くラジオに刷り込まれたムード歌謡がむくむくと顔を出し、もう隠しておけなくなったムード歌謡曲の甘い蜜。 

どうかお許しをーーーーーっ!!(誰にあやまっとるんだ!)

からす


恥ずかしながら、当時から大好きだったムード歌謡曲を上げてみますと…


内山田洋とクール・ファイブ 《そして神戸》《東京砂漠》《長崎は今日も雨だった》《中の島ブルース 》

この映像は前川清が、ザ・スリルとコラボしたもの。サックスのお姉さんの音はいまいちでしたが、そのドレスは最高でした。


鶴岡雅義と東京ロマンチカ 《君は心の妻だから》《小樽のひとよ》

本当の妻、女優の香山美子さんと共に。三条正人、魅惑の歌声と七三分け!


敏いとうとハッピー&ブルー 《わたし祈ってます》《よせばいいのに》《星降る街角》

白状します‼ 僕この歌、死ぬほど大好きでしたぁーーーーーっ! 申し訳ありませんーーーーーっ!


和田弘とマヒナスターズ 《誰よりも君を愛す》《北上夜曲》

王道のムード歌謡! 哀愁のスチールギターと、若かりし頃の美しすぎる松尾和子お姐さん


ロス・インディオス 《知りすぎたのね》《コモエスタ赤坂》

やさぐれたオッサンのツインヴォーカル! この素晴らしき、いかがわしさ!


ロス・プリモス 《ラブユー東京》《たそがれの銀座》

このフルートがたまらん!  若き日の森聖二の美声の映像はこれだけでした。  

からす


うわーーーーっ! 出るわ出るわ、きりがありません! 

中でもラテン系が大好きだったので《星降る街角》《コモエスタ赤坂》《たそがれの銀座》なんかは、わたくしいまだに何度も聴いておりますけど、なにかっ(怒)! (卑屈になり過ぎて逆切れし、とうとう怒りだしております。)


で、再び《東京》に話を戻して本題の 内山田洋とクール・ファイブ 《東京砂漠》

この映像は、前川清がジャズギタリスト・渡辺香津美 とジョイントしたもの。後半、本調子になった渡辺香津美のギターは泣きに泣いております。

からす

ムード歌謡のコーラスグループの中でも異質な存在。客に媚びず、直立不動でゴリゴリに歌い上げる前川清をヴォーカルに立て、《長崎は今日も雨だった》を引っ提げ、1969年メジャーデビューを果たした内山田洋とクール・ファイブ。 

その後1987年、前川清が脱退するまでに数々のヒット曲を飛ばします。 もともとはジャズやラテンなどの演奏を得意とした本格的なバンドだったのですが、やはり手っ取り早く売れるためにはムード歌謡、当たり前のお話なのです。


しかしながらデビュー当時の前川清は信じられないほどナイーブな性格で、直立不動で歌う以外のパフォーマンスは一切できず、エンターテナーとしてはポンコツそのものでした。 実は僕、当時のクールファイブのコンサート、観ているんです。 母親がラジオの懸賞で当てたチケットのおこぼれで観にいっているんですよ、これが…。 僕が中学生だった頃で、歌われた曲はほぼ忘れているのですが、途中、楽器のアンプの不具合かなにかで中断。その間約10分ほど、当然つなぎのMCをすると思いきや、前川清、客席にけつを向けたまま一言もしゃべらず10分の時間を直立不動の後姿でやり過ごしたのです!
心のなかで「なんか喋ろよ、このでくの坊がっ!!」とツッコミを入れたことだけは、しっかり記憶しておるのです。  
のちに欽ちゃんに仕込まれ、すっかりタレントとしてギャグも言える今の姿からは想像もつかない方も多いことでしょうが、そう考えると、歌手だけではなくタレントとしても生き残るために、相当の努力を重ねてきたのでしょう。

からす


そして1976年にリリースされたのがこの《東京砂漠》


作詞は、吉田旺。この方、ちあきなおみの曲を数多く作詞されており、名曲《喝采》を手掛けたのもこの人。歌詞に凄みがあります。 

そして作曲は、バンドマスター・内山田洋の親分さん。 クール・ファイブの曲は何曲か作曲しているのですが、なんといっても代表作はこの《東京砂漠》でしょう。


空が哭いてる 煤け汚されて
ひとはやさしさを どこに棄ててきたの
だけどわたしは 好きよこの都会が
肩を寄せあえる あなた…あなたがいる
あなたの傍で ああ暮らせるならば
つらくはないわ この東京砂漠
あなたがいれば ああうつむかないで
歩いて行ける この東京砂漠


ビルの谷間の 川は流れない
人の波だけが 黒く流れて行く
あなた…あなたに めぐり逢うまでは
そうよこの都会を 逃げていきたかった
あなたの愛に ああつかまりながら
しあわせなのよ この東京砂漠
あなたがいれば あああなたがいれば
陽はまた昇る この東京砂漠
あなたがいれば あああなたがいれば
陽はまた昇る この東京砂漠


一見、よくある演歌の恋歌に聴こえるのですが、当時の社会情勢や東京の捉え方を如実に表しており、恋歌以上のなんらかの普遍性を感じ取れるのです。
厳密にいえばムード歌謡のカテゴリーには入らないのでしょうが、どこか凄みをともなった演歌の一曲として、北原ミレイ《石狩挽歌》石川さゆり《天城越え》天童よしみ《珍島物語》等と共に、強く心に残っているのです。

憂歌団ヴァージョンの石狩挽歌内田勘太郎のボトルネック奏法のギター、もう、最高です。

はっきり申します。セックスの歌です。

この映像は、ヘヴィメタのギタリスト・マーティーフリードマンと、琵琶奏者・坂田美子とのコラボレーション! それぞれが凄い!

この歌を歌えるのは、天童よしみをおいてほかにいません! いや、桂銀淑なら歌えるかも…。

からす


2020年の東京オリンピックを迎えるにあたって、今一度日本の演歌の凄みを世界に発信できないものでしょうか? まだまだ凄まじい歌唱力を持った演歌歌手はこの日本には沢山います。 他ジャンルの一流ミュージシャン(クラシック、ジャズ、ロック等)との相互が響きあい大いに歌舞くような、今の時代にも通用する完成度の高い演出を施したコラボレーションは絶対出来るはず。


《東京砂漠》は、日出ずる国・日本の首都、東京に未来永劫《陽はまた昇る》と歌います。 そう、あなたさえいれば、やさしさ(愛)さえあれば《陽はまた昇る》と、何度も何度も歌います。世界の国々が、覇権主義・国粋主義・排外主義に突き進み、共栄共存の夢物語を諦めつつある中、日出ずる国・日本の東京で、今回開催されるオリンピックは国民全体でアホみたいに《陽はまた昇る》と、どんなことがあっても、何度も何度も 《陽はまた昇る》 と叫びましょう! 

世界中の人々の心の、干上がった砂漠に水をくべる如く、アホみたいに 《陽はまた昇る》 《Love&peace》を叫びましょう!

オリンピア1
からす

いつものように、わけのわからん結末になってしまいましたが、《東京砂漠》が名曲だということだけは、お伝えできたでしょうか?(伝わるかぁーーーーーっ!)

おしまい