ゲスの極みザ・ファースト《ハマカーン》の底力。

ハマカーン

THE MANZAI 2012優勝の実力をもつ、安定感抜群のお笑いコンビ、《ハマカーン》。漫才師としての地位を確立した今、どこに向かって進んで行くのか?

芸人に限らず、この世を上手く生きていく上でとても大切な要素の一つとして、自己プロディース能力があります。外界と自分を上手く馴染ませ、出来るだけスムーズに生きていける様に、誰でも意識のうちに自己演出をしているもの。

しかし、自分が持っている自身のイメージ(こうでありたい自分)と、周りの他人が抱くイメージ(そう見える自分)との差は、思っている以上に大きく異なっているのではないかと、最近特に思うのです。

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自身が思っている本当の自分(多くは妄想)など、他人にはどうでも良く、前知識等なくてもその佇まいから発せられる情報を受け取る能力は、誰もが持っているもので、そちらの情報の方を基に自己プロディースしていった方が意外と上手くいくもの。

自分に対する他者の意見や批判等は、「俺のことなど、何もわかっていないくせに」と、ほとんどの人は無視するのですが、けっこう的を得ていることが多いのです。そういう意味でも「人の意見は素直に聞け」は、正解なのでしょう。

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で、《ハマカーン》

デビュー当初は、浜谷がボケで神田がツッコミ(今とは逆)と、明確なスタンスでコントも漫才もやっていたのですが、当時のネタは、どれもそこそこ面白いのだけれど、独自性に欠け、どこかで見た様なものばかりでした。

当時神田は、若さ故のこだわりや、ツッパった感情から、神田うのが実姉だと言う事実を頑に隠しており、二人とも、先ほど書いた様に、《こうでありたい自分》を自己演出していた様に思われます。

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芸人さんが舞台やテレビに登場した際、観客が無意識に、一番最初にすることは、その芸人さんのキャラクター確認なのではないでしょうか?

より良くウケるには、その芸人を見たとき、観客が一番納得出来るキャラクターを自己演出することが、もっとも重要な作業だと思うのです。若い頃は誰もが、自意識が強く、〈あるべき自分〉と〈こうでありたい自分〉を分離することが出来ずに、試行錯誤してしまうもの。

しかし観客に短時間で認知してもらう(売れる)には、如何に早く観客が納得するキャラクターを見つけ、それを演じるかに懸かっているのでしょう。 本当に面白く、素晴らしいネタをやっている芸人さんがくすぶっているのは、自身のキャラクターを固められないパターンが、本当に多いと思うのです。

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ボケとツッコミを入れ替えて、世間から「ゲスの極み」ハマカーンという認知を得だしたあたりから、浜谷神田、個々のキャラクターがまとまりだしたように思われます。このキャラクターを基に衣装やしゃべり口調も固定し、独自の漫才が確立します。

ただ、イマイチ何かたりない、 そう、神田のキャラクターが何とも弱い!

しかし、THE MANZAI 2012の決勝戦のネタ2本、ここにおいて漫才師《ハマカーン》、覚醒です。

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今まで消極的だった、神田の生い立ち(裕福な家庭)(実姉が神田うの)等をすべて受け入れ、神田のキャラクターに(お金持ち)(女子キャラ)という、二つの大きな要素を入れ込み、神田のキャラクター設定が固定、完成するのです。

神田をこのように、(セレブ)(かよわい)(傲慢)等の神田うのに通じるわがままなキャラクター設定を強調することによって、浜谷(筋肉バカ)(野蛮性)(貧乏キャラ)が相対的に強調され、ネタの完成度が爆発的に高まります。今では、登場しただけで観客はそのキャラクターを理解し、漫才のネタに100%集中して聞いてくれます。

不思議なもので、そうなってくると浜谷、神田の本来持っていた良い意味での資質がネタを通して滲み出てくるのです。

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僕はお二人の性格や、気質は何も知らないので、間違っていたらゴメンナサイなのですが…。

浜谷は、荒々しく暴力的にツッコンでいるのですが、合間に見せる表情が何とも優しく、人を傷つけたくないという思いが滲み出ており、頼み事されると断ることのできないような、ほんとうに良い人にみうけられます。そして神田なのですが、その育ちの良さは隠しきれず、悪気のない上から目線は、今のネタをやる上で、最高の武器となっています。

最近は、自身のキャラクターの延長上として、料理が得意芸人の一人として活躍しています。

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先日、 園田競馬場での営業の仕事をしているハマカーンをYouTube で見たのですが、いやぁー頑張ってますねぇー。芸人の底力を感じます。 《かまいたち》がやっているのも見ましたが、これも、テレビやラジオ以上に一生懸命にやっていました。

競馬を目的に来ている客を、演芸で楽しませるのは、並の力量ではありません。こういうのを見ると、増々芸人さんが好きになります。

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ハマカーンの今後の活躍が、大変楽しみなのですが、現状、ちょっと停滞している感は否めずテレビなどの露出もイマイチの様子。バラエティーのひな壇でも積極性に欠け、MCの能力も未知数なのですが、どこかにハマるポジションがきっとあるはず。

何とか見つけてほしいものです。フリートークでもハマカーンならではのパターンを見つけ、ラジオのパーソナリティーにもチャレンジして欲しいものです。

https://blog.akiyoshi-zoukei.com/katsu/post-643

おしまい