テレビアニメ《映像研には手をだすな!》 モラトリアムから脱しえない人種達の果てしない空想力! その空想力は自身を救い世界をも救えるのか?

映像研には手をだすな!

ワクワク感!ドキドキ感!ウキウキ感! 泉のように湧き出でる空想世界のアイデアと映像。その空想力のヴァイブレーションは全地球に響き渡り、全人類の共通言語となりうるのか?


久々にハマってしまいました。NHKテレビアニメ《映像研に手を出すな!》


毎度毎度のことなのですが、うちのかみさん(アニメオタク)が「このアニメ、好きそうやから見たら?」と吐き捨てるように勧めてくれたのが《映像研に手を出すな!》。 

最近のアニメ映画《バケモノの子》《君の名は。》などはそこそこ面白かったのですが、それほどハマることもなく、《かぐや姫の物語》《この世界の片隅に》にドハマりし、号泣した薄汚いジジィな僕なので、このアニメ《映像研に手を出すな!》のキャラクターの絵を見た瞬間、また内容の薄いチャラチャラしたアニメに違いないと思いながら乗り気のない、なめた態度で見始めたのですが……、


「面白い!」


「楽しい!」 


「凄すぎる—っ!!」 


と、半狂乱!


「なめた態度で見始めてゴメンナサイ」


「こんな素晴らしいアニメを教えてくれて本当にアリガトウ!」


「あなたはかけがえのない僕の素敵なパートナー!」


「一生ついていきます!」


と、かみさんに媚びへつらういつもの僕。相変わらず掌の上で転がされております。

からす


この年になると、ワクワク感ドキドキ感ウキウキ感を感じることはそうそうあるものではないのですが(結構あるか…)、このような感情を思い起こさせてくれる作品は本当に稀で、新型コロナウイルスで鬱々した現状の空気感を吹き飛ばしてくれるほどの爽快感を僕に与えてくれたのです。


《月刊!スピリッツ》にて2016年に連載が始まった、大童澄瞳のデビュー作。 多くの漫画ファンからの支持を得て、TV Bros.のマンガ賞「ブロスコミックアワード2017」大賞を受賞します。 2020年1月6日から、NHK総合テレビでアニメーションとして放映が始まり、先日の3月23日に最終回の放送で怒涛の全12話が完結。 漫画の連載はいまだ続いており、続編アニメも期待されるところ。

 4月からテレビでも実写ドラマが放送予定で、主要キャストに《乃木坂46》のメンバー達を起用。 また、5月15日に劇場版《映像研に手を出すな!》も公開予定で、攻めに攻めております。


高校に入学したばかりの主人公・浅草みどりは典型的なアニメオタク。対人関係や世間と対峙することが苦手。臆病で行動力がないのだが、人並外れた空想力を持ち、さらにそのイメージを忠実に再現できる恐ろしいほどの画力の持ち主。


浅草みどりとは中学からの同級生・金森さやかは、アニメにはそれほど興味はなく、幼少期からの環境でお金の大切さを実感、どこまでも生産性や効率性を追求し、その達成に異常な快感を感じ、抜群のプロデュース力とマネージメント力を持つ。


二人とは高校で知り合うこととなる水崎ツバメ。お金持ちで美人、読者モデルもこなす超有名人。しかしながら強烈なアニメ―タ―志願者で、その境遇とは正反対の浅草みどりともすぐさま意気投合。 動画に異常なこだわりを持ち、その動画の表現力はピカ一。


このバラバラな感性を持つ三人が立ち上げたのは《映像研究同好会》。その目的はただ一つ、アニメで《最強の世界》を完成させること。

からす


原作の漫画は読んだことがないので(読んどけよっ!)何とも言えないのですが、テレビアニメでは、この三人が大好きなアニメの世界観を作り上げる過程の動画表現が最高に素晴らしく、人がゼロから新たなものを創作するときの喜びと至福感。次々とアイデアが浮かぶゾーンに入ったときの、高揚感や疾走感を余すことなく感じさせてくれるのです。


アイデアを練るため、三人が街を散策してゆくシーン。 特に浅草みどりが、アニメの設定の街並みや人物、兵器や武器のアイデアを思いつき、その説明をしながらスケッチ風のアニメーションが次々と展開してゆく映像は、もう言葉で説明するには限界を感じるほどの楽しさなのです。 

細かなディテールが 浅草みどり のナレーションと共に形作られていく様の、アナログの手書きスケッチとCGの3D技術を組み合わせた映像表現はアニメならでは。 

そして浅草みどりの声優に、僕の大好きな女優の伊藤沙莉を起用している素晴らしすぎるセンス! この人、見た目はちんちくりんの個性派の女優さんなのですが、声が独特のだみ声でアニメ声優にもピッタリなのです。

からす


劇中で《映像研究同好会》が制作した最終回のアニメの内容はネタバレになってしまうので詳しくは話せないのですが…、

その昔、地上の人間と水中に住む河童がコミニュケーションツールとして機能していた水際に立つ大きな鐘の音により上手くすみ分けていたのだが、長い歴史の流れの中で機能(鳴らなくなる)しなくなり、地上の人間と水中に住む河童が戦闘状態となっている現在。これを平和に戻すため、双方の目覚めた者が鳴らなくなった大きな鐘を再生させ、再び鳴らすことに成功! はたしてその鐘の波動により、以前の平和な世界に戻り大団円となるのか?そうはならないのか?

 

各国、増々閉鎖的になりつつある今現在の世界情勢を思わせるようなその内容は、僕が常々思っている

【《共鳴》こそが万人に共通する(相互理解)の為の唯一のコミニュケーションツールになりうるのではないのか?】 

というテーマとピッタリなのです。 はたしてその《共鳴》を起こす《鐘》の響きとは何なのか? 

からす


今後、《乃木坂46》のメンバー達の起用で実写化されるテレビドラマや映画では、おそらくアニメのキャラクターとは大きく変わったものになるのではないでしょうか? とにかく、僕的にはテレビアニメ、久々の大ヒットだったので、そのイメージを崩さないものにしてほしいと、切に願っている所なのです。


金銭欲や名誉欲、更にはコマーシャリズムに毒される前の、見るもの聴くもの触るもの、そのすべてにインスパイアされた直後の、みずみずしさ満載の発想力、空想力、そして若者特有の《大いなる勘違い》の爆発力を味あわせてくれたアニメ《映像研に手を出すな!》

 
僕的には久々にドストライクなアニメだったのです

おしまい