サラ・ヴォーン《ラヴァーズ・コンチェルト》を聴きながら、ウイリアム・ブレイクの詩《無垢の予兆》を感じてみる。《幸せ》とは森羅万象を感じ得る感受性にあるのか?

サラボーン

世界は常に変化しながら、その一瞬一瞬に二度と再現することのできない美しさを放っています。 色と光のハーモニー、風が運ぶ草木のメロディー。 これら森羅万象の響きを感じ取れる感受性で世界を見た喜びと感動をダイレクトに伝えてくれるサラ・ヴォーンの《ラヴァーズ・コンチェルト》


あけましておめでとうございます


昨年は、たくさんの方々に当ブログを読んで頂きまして、感謝、感謝でございます。 また《ギフト・煌》の商品をお買い上げ頂いた皆さま、本当にありがとうございました。

本年も引き続き、よろしくお願いいたします。

からす


昨年後半はブログ更新のペースがガタンと落ちてしまい、ご心配をおかけいたしましたが、今年からは月に最低2~3本程度は上げることをノルマに精進する所存でございます。 見捨てずにお付き合いいただけましたら、この上なき幸せ。


さて、本年度一発目はサラ・ヴォーン《ラヴァーズ・コンチェルト》

 

サラ・ヴォーンをご存じない方も、この曲はどこかで耳にした事はあるはず。
原曲はクラシックの中でも超有名な曲《メヌエット・ト短調BWV Anh.114》。当初は、J.Sバッハのものとされていたのですが、本当はオルガン奏者、クリスティアン・ぺツォールト(わたくしまったく知りません)が作曲したそうです。 原曲は3/4拍子なのですが、詞が付けされ《ラヴァーズ・コンチェルト》となった時点で4/4拍子となり、大きな広がりを感じるようになったように思われます。


この曲はスタンダードナンバーとしていまだに沢山の歌手がカヴァーしているのですが、僕の中ではサラ・ヴォーン《ラヴァーズ・コンチェルト》に勝るものはなく、この圧倒的な至福感とスケール感、そして、この世に生まれた喜びがあらん限りに溢れ出ており、サラ・ヴォーンの歌声は宇宙の隅々にまで響き渡ります。

からす


歌詞の内容を要約すると、


愛する二人が結ばれ、
生涯変わることなく愛し続けようと約束し、
その約束が果たせたとき、
その愛は真実となり人生はこのうえなく素晴らしいものとなる。


という単純明確。何のひねりもないドストレートなラヴソングで、結婚式にもよく使われるジャストミートなもの。そして、この至福感で宇宙の全てのものを眺めたとき、宇宙はこの上なく美しく、七色の虹の如く極彩色に光り輝いて見えると歌われます。


《ラヴァーズ・コンチェルト》サラ・ヴォーンの歌声は、愛すること愛されることの幸せの絶頂期、光り輝く世界の美しさを見ることの出来た喜びがダイレクトに聴き手に伝わり、歌詞の内容を大きく超えた、生の《祝福》の響きを感じるのです。


新年を迎え、初春の風を感じる僕達一人ひとりが《ラヴァーズ・コンチェルト》を歌う心持で世界を眺め、掴むことが出来たなら…。

からす


ここで英国の詩人で画家のウイリアム・ブレイクの詩《無垢の予兆》の冒頭の四行を思い出します。

一粒の砂

一粒の砂の中に世界を見    
一輪の花に
天国を見るには
君の手のひらで
無限を握り
一瞬のうちに
永遠をつかめ

からす


この詩は以前アップした映画《デッドマン》の記事の中で少しだけ取り上げたことがあるのですが、世界の捉え方、幸せの感じ方のキッカケになるのではと思うのです。 僕自身未だ《一瞬のうちに永遠をつかめ》の体験を出来ていないので何とも言えないのですが、感覚的にそうなんだろうなぁと、確信に似たものがあるのです。

映画《デッドマン》死の間際でさえ人は成長(覚醒)の可能性を与えられている。 https://blog.akiyoshi-zoukei.com/katsu/archives/652


「神はディティールに宿る」

小さな小さな一粒の砂の中にも《真理》が内包されており、たった一輪の花の中でさえ、天国(祝福)がいっぱいに満ち溢れている。 森羅万象を理解するには、言葉による理屈を通してでは不可能。宇宙からの祝福のメッセージは、言葉以外の何かを感じること。 

人一人の情報の全ては、小さな小さなDNAの中にあり、人の身体のどの部分からもその情報は得られます。《真理》と言われるものも同じように、森羅万象のどの部分からも感じ取ることが出来るのでしょう。


「君の手のひらで無限を握り」


言葉や思考は有限のもの。無限を握るとは、思考の限りを越えて森羅万象と共鳴すること。 共感ではなく共鳴する。

それぞれの奏でる響きと周波数を合わせ、シンクロすることによって「君の手のひらで無限を握り」が可能となり、その時、時間は消滅(本当は時間など存在しない?)し、《永遠》を感じることが出来るのでは…。


サラ・ヴォーンの歌う《ラヴァーズ・コンチェルト》の響きの中に、《真理》《永遠》の景色が垣間見えるのは、僕の幻聴、幻覚なのでしょうか?

からす


《禅》の言葉にも《萬物生光輝》という同じような世界観の言葉がありますす。その境地で観る森羅万象の景色は、 サラ・ヴォーンウイリアム・ブレイクの垣間見たものと同じ景色だったように思われるのです。

萬物


最後に 《萬物生光輝》ばんぶつこうきをしょうず という言葉の意味を添えて年頭のご挨拶と致します。


春の訪れとともに この世の「すべてのもの」は光り輝きます
それは一夜のうちに醒めてしまうような錯覚の類ではありません
「すべてのもの」とは私達にとって
プラスなものや都合の良いものだけではなく
マイナスなもの都合の悪いものをも含んでいます


もし、私たち自身の心の内にも春が訪れた(覚醒した)なら
その意味が分かるのでしょう。
私たちが身近に接しているものや事柄はもちろんのこと
この宇宙の「すべてのもの」が、自ら光り輝いていることを
そして、私たちもすでに
燦々と光り輝いていることを


皆さまにとって二〇二〇年も光輝く年になります様、お祈り申し上げます。 

おしまい