今年もやってきました! 沢田研二コンサートツアー福岡公演! 去年の《ドタキャン騒動》のプロモーションもすっかり収まり、今年は静かに幕を開けたコンサートツアー。 二年目に突入したボーカル&エレキギターのデュオライヴ。 はたしてどのように進化した音を僕たちに聴かせてくれたのか?
《痛風》は秋風が吹いただけで激痛が走り抜けるぅ~~~~~~っ!
はい、わたくしよりによってジュリーのライヴの前日に三度目の《痛風》を発病! 今年は、秋風に吹かれ秋雨にうたられながら、右足を引きずりつつのライヴ参戦となってしまったのです。
身に覚えのあり過ぎる日頃の悪行の数々の因果か、贅沢な物も食せない貧乏人のくせに、わたくし実は贅沢病といわれる《痛風》持ちだったのでございます(どうでもいいわっ!)。
この年になるまで大病もせず大した持病もなかった僕なのですが、《痛風》を患ったのは五年ほど前。かみさんと二人で旅行に行った折、一日だけでもと奮発し、高級旅館に宿泊します。
その宿の夕飯が大層なお御馳走で、調子に乗ってかみさんのものまで分捕っておなか一杯食べ、温泉に浸かって至福の就寝となったのですが、翌日目を覚ましたとたん地獄のような激痛が左足を襲います。
《馬鹿の大足、阿呆の小足》と申すように、自他ともに認める阿呆の僕は小足だったのですが、掃除用のビニール手袋に空気をいっぱいに吹き込んだ状態のように真っ赤に腫れあがった馬鹿の大足になり果てた、自分の左足を見た途端、誰かに殴られたか踏みつけられたに違いないと勘違い。
まず最初に、隣で気持ちよさそうに眠るかみさんに疑いの目を向けます。 昨日、かみさんのまで分捕ったお御馳走。食べ物の恨みで仕返しをされたのだと勘違いし、かみさんを叩き起こして問いただします。
僕 俺が寝とる間に左足殴ったろ?
かみさん 何で?
僕 ほら、この足見てみぃ!
かみさん ギャハハハハハハハ! ぱんぱんに腫れあがっとる! コッペパンみたい!!(と言いつつ腫れあがった足の甲を突っつく)
僕 ギャー―――ッ! イタァーーーーーーッ! 触るなぁーーーっ! そして笑うなぁーーーっ!
かみさん 何でこんなんなったん?
僕 寝とっただけやろ! 誰かに殴られたとしか考えられんし、犯人はお前しかおらんやろぉがぁーーーーっ!
かみさん はぁっ(怒)! 私やったら足は殴らん、力いっぱい顔面を殴るっ!!
僕 そ、それは… やめてください。
かみさん ねえ これ… もしかして痛風やないと?
僕 俺みたいな貧乏人は、痛風にはならんやろ?
かみさん 昨日、普段食べつけん高いもん、私のまで分捕ってアホみたいに食べるけこんなんなるとよっ! 身から出た錆ったい!
旅行から帰って半信半疑で病院に行くと、かみさんの言う通り《痛風》と診断されます。一度発病すると完治はないといわれ、食生活の改善をすすめられ、大好きな干し魚、明太子、モツ等を控えるように言われます。
酒もタバコもパチンコもきっちりやめて、品行方正、仙人のような生活をしているわたくしに、神様は更なる試練を与えやがるのです。
その後は、そのような好物も控え、質素な食生活を心がけていたのですが、つい先日、イオンの鮮魚売り場を通りかかった折、平台冷ケースに横たわる、艶やかなオーラをまとったうら若き辛子明太子のお嬢さん達に、
「ねぇ、そこのおじさん、私達を食べてみませんかぁ?」
としつこく誘われ、その誘惑に耐え切れずにワンパックを購入。かみさんに隠れて三日連続して食してしまったのが原因なのでした。
そんなわけで、自業自得の末、コッペパンのようにパンパンに腫れた右足を引きずりながら、這うようにして会場の福岡サンパレスへ。
朝からしとしと降り続いていた秋雨は、家を出た途端に豪雨となり、更に僕のゆく手を阻みます。そんな数々の障害を乗り越えて、なんとか会場に到着したのは開演ギリギリの6時30分。
会場の一階席はほぼ満員、二階、三階席は多少空席が目立つものの観客の熱気はムンムンで、会場は最高の状態に仕上がっておりました。きっとコアなお客さんが多かったのでしょう。
去年のライヴはキャパ1万人ほどの福岡国際センターで、ほぼ満員だったのですが、観客の熱は比べ物にならないほど今年のお客さんのほうが上回っておりました。 演奏をじっくり聴くのであれば、千人~二千人程度の箱がベストで、僕的にも今年のほうがはるかに期待値が上がります。
舞台下のオーケストラピットも解放されており、最前席は手を伸ばせばステージに届きそうな場所で、ジュリーファンのお姉様方は、狂喜乱舞の歓びよう! ステージはいつものように、中央にギターの機材とマイクスタンドだけの、シンプルイズベストのセッティング。予定より10分程遅れて、いよいよジュリーと柴山ギターの登場です!
以下、ネタバレありありなので、未だ見に行けてない方は読まないでね。
いきなり乗り乗りの《気になるお前》からスタート。《THE VANITY FACTORY》《a.b.c…I love you 》そしてレコ―ド大賞受賞曲《勝手にしやがれ》と続きます。
久しぶりに《勝手にしやがれ》をフルで聴いたのですが、改めてじっくり聴くとやっぱりいい曲ですねぇーーっ! 今のジュリーの声質で聴くと、勢いだけではない深い哀愁の響きが胸をえぐり、訳もなく涙が出てしまいます。今まで聴いた《勝手にしやがれ》とはまた違う意味で感動してしまいました。
で、ここまでの柴山ギターのアレンジと音の響きが、去年の演奏よりも一段と進化しておりビックリ! 今年はある種の余裕が感じられ、ジュリーとのセッションを楽しみながら演奏しているように聞こえたのは僕だけでしょうか? 去年物足りなかった泣きの柴山ギターのソロ演奏も随所に散りばめられ、ホール全体に心地よく響きわたっておりました。
(鬼に金棒、ジュリーに柴山)と言われるように(僕しか言っておりません)、ジュリーも伸び伸びとシャウトしており、予想以上のグルーヴ感! 最初はかすれ気味の歌声が、次第に調子がよくなり、《勝手にしやがれ》の時は、柴山ギターとともに最高の出来でした。
さらに追い打ちをかけるように、乗り乗りのロックチューン、《ストリッパー》の演奏時は最高潮に達し、会場を埋め尽くしたジジババ(今年は若い人も結構いました)の、「ジュリーーー――ッ!!」の(黄色い?)声援と、時折混じるオッサンの野太い「ジュリーーー――ッ!!」の声援が乱れ飛び、ジュリーのコンサート独特の空間が作られてゆきます。
ジュリーもご機嫌でいつもより多く、ステージ上を駆け回っておりました。僕もここまでは、あれほど痛かった《痛風》の痛みも忘れ、立ちっぱなしの手拍子足拍子で騒いでいたものだから、続いて歌われた《探偵~哀しきチェイサー》の時には疲れ切って小休止。 椅子に腰かけてじっくりこのバラードを楽しみます。
僕の大好きな大野克夫先生作曲の《探偵~哀しきチェイサー》。
これまた久しぶりにじっくり聞くと良い曲。美しい!美しい! いやーーよかった。 この曲もこんなにいい曲だったのですねぇ。 歳を重ねる度にこの曲の歌詞の意味が深く突き刺さり、今のジュリーの歌声で歌われるメロディーは、歌詞の意味さえ越えて、普遍性を帯びた音となって福岡サンパレスのホール全体に響き渡ります。
探偵が見る夢は
ドクターが見捨てたひとの
強がりやすすり泣き
俺もまた捨てられたひとりか
いやぁーーっ、捨てられたひとりの僕としては、深く心に沁みますねぇ。 この曲はジュリーの歌声にドンピシャで、この切なさやりきれなさは何なのでしょう? 再び襲ってきた痛風の激痛と相まって、涙に暮れる俺、哀しきチェイサー……。
そして再びバラードの名曲《そっとくちづけを》
夜空を見上げれば丸い月がほら 君の笑顔のよう
流れ星ぼくの頬つたう 君の愛したすべては
ぼくの心に生き続ける 果てしない時空を越え
言葉だけでなく君を忘れない ぼくの命だから
君は命なんだ
ショーケン追悼の想いを乗せて歌われたジュリー渾身のバラード。 サビの圧倒的な声量と胸に迫る哀愁のビブラート、間奏の泣きの柴山ギターは福岡サンパレスホールの空間を越えて、遥か夜空の星となったショーケンに届いたか?
会場がちょっとしんみりしたところで《お前は魔法使い》《憂鬱なパルス》で再びご機嫌なロックンロールをぶちかまします。今回のコンサートは、柴山ギターのアレンジと同様、セトリの構成もメリハリが聴いていて聴くものを飽きさせない工夫が感じられ、ボーカル&エレキギターだけのデュオライヴにしてはジュリーをよく知らないお客さんでも退屈ではなかったはず。やはり年々進化してゆくのを感じられ、来年以降のライヴも、とても楽しみになりました。
ここからは、近年のジュリーのメッセージソングが続きます。
《吉いらんか》
《グショグショ ワッショイ》
《限界臨界》
《若者よ》
《根腐れpolitichan》
《SHOUT!》
メッセージソングと言ってもアップテンポの楽しい曲がほとんどで、柴山ギターも、ところどころ実験的なアレンジをやっているように聴こえたのですが、どうなのでしょうか?
ライブのタイトル《SHOUT!》の看板に偽りなく、ジュリーも思う存分にSHOUT! そんなに荒々しく声帯を使って良いのかと、こちらが心配になるほどにSHOUT! このツアーの間、どの会場でも手を抜かず、激しくSHOUT!し続けるジュリーの声帯は化け物のよう。 しかしながらあと最低10年は歌い続けて頂きたいので、無理をなさらずにSHOUT!して頂きたいものです(とはいってもどの会場でも全力なのでしょうが…)。
そして待ってましたの僕の大好きな《君をのせて》
柴山ギターのイントロが始まった途端、「えっ……」の、口ぽかーーん状態の僕。
「なにこのギター、全然違う曲になっとるやん」
その不思議な柴山ギター演奏に乗せて淡々と歌い上げるジュリーこと沢田研二さん。 半分パニックになりながらも必死に理解しようと全身全霊で聴き続けている過程で、胸の内で勝手に受け止めた僕の理解を語ってみますと、
ソロデビュー曲として歌われた昭和の《君をのせて》ではファンを乗せ、平成元年の《君をのせて》では、人間沢田研二として田中裕子を乗せ、2008ジュリー祭り・東京ドームでの《君をのせて》では、すべての人類を乗せ、そして令和元年の《君をのせて》では、その乗り物は海に浮かぶ船ではなく、天空に浮かぶ《天の浮舟》、そうUFO《宇宙船》に僕らを乗せて異次元の世界に誘わんとする《君をのせて》ではないのかと思ったわけなのであります。
「…っな訳ないやん」
「しょうもなっ」
という皆さんの声がバンバン聞こえてくるのですが、僕がそう思ったんだからしょうがない! 誰の意見も聞き入れず、そうに違いないと頑なに思い込もうとした刹那、再び《痛風》の激痛が僕を襲います(俺の痛風は孫悟空の頭の輪っかかぁーー!)。
《痛風》の激痛にもだえ苦しむ僕を置き去りに、ライヴはジュリーのお着換えタイムとなります。
そして再びステージに登場したのは《猫田にゃー》。
その昔、ザ・タイガースから野に放たれた一頭のトラは半世紀の時空を越えて、一匹の魚をくわえた、《猫田にゃぁ》に姿を変えて、令和日本に現れたのです。
こいつは本当にふざけたやつで、ひとしきり観客をにゃーにゃーイジリ倒した挙句、《猫田にゃー》として登場した意味は、ステージ衣装のアイデアが枯渇してしまい、意味なく思いついた結果なのだと、のたまいます。
しかし《猫田にゃー》、こいつにもいいところはあるのです。この日、10月18日が誕生日のお客さん(10人前後いらっしゃいました)一人一人に「おめでとうございます」と丁寧に祝ってあげたうえ、《猫田にゃー》作詞作曲の誕生日ソング《誕生日》を他の観客を巻き込んで歌い上げます。
これは《猫田にゃー》だから出来ること。さらにあろうことかジュリーの名曲《TOKIO》まで歌い上げ、やんややんやの大喝采!さすが稀代のエンターティナー、お客様のためなら空も飛びます《猫田にゃー》!
そんなこんなで早くも最後の曲《さよならを待たせて》をジュリーは《猫田にゃー》のまま、おさかなマイクを片手に歌います。
この曲は、クリスマス・失恋ソングのカテゴリーに入るものの、もっと大きなあがなえない何かに向かって ♪CAUSE MY LOVE と歌っているように聴こえます。 それにしてもジュリーのバラードは名曲ぞろいですね。
さよならを 夜明けに待たせて
AH もういちど 抱きしめたいけど
触れない この手が CAUSE MY LOVE
さよならを 夜明けに待たせて
AH もういちど 抱きしめたいけど
触れない この手が CAUSE MY LOVE
背中で 送るよCAUSE MY LOVE
最後のサビのジュリーの歌唱は圧巻! なんてせつなく、色っぽく、艶ややかな……。
ジュリーのライヴは今年で三回目になるのですが、今回の歌声が一番深く心に沁みました。 デビューから50年以上歌い続けても尚、更なる高みを目指してどんな会場であっても全身全霊で歌い続けるジュリーの姿勢は、確実にその歌声に現れ、僕たちの心の奥底に響きます。
人生において、たとえ結果が伴わなくても、更なる高みを目指して現状を何とかしようと生き抜く姿やその想いは、必ず全宇宙に響きます。 その先に大きな成功や賞賛をそれほど期待できない僕たち同年代のジュリーファンのジジィやババァの代表として、ジュリーには生涯スーパースターであり続け、どこまでも光り輝く未来に向かって歌い続けてもらいたい!
と、《痛風》の激痛に顔を歪める僕が言っても何の説得力もないのですが、今回のライヴのジュリーの歌声のバイヴレーションは、僕の尿酸値をも確実に下げてくれ、《痛風》 の痛みをも和らげてくれたのです。
ちなみに僕の主治医の話によると、《痛風》の原因は生活習慣もあるのですが、ほとんどが遺伝によるものだとおっしゃいました。
「なーんだ、遺伝じゃしょうがない、俺が悪いのではないのね」
と、何処までも周りのせいにする僕の性格だけは、ジュリーの歌声を聴いても治らなかったのでした。
残念!
お久しぶりです。
最近、ブログ更新がなかったので 凄く心配していました…
今年も、『ジュリー』ライブに 無事 参戦出来て良かったですね!
これで、次回のライブまで余韻を楽しんで頑張れますよね(^^)
私は、『ONE OK ROCK』にハマってて 運転しながらシャウトしてます。
私も、機会が有ったら行ってみようかなぁ。
お互いに、体調管理に気をつけながら 青春時代のあの頃の気持ちを持ち続けていきたいですね。
PS•「痛風」って治らないんですか?
私も 今年から、ウォーキングと整体に励んで体幹を鍛えてます。