その昔、クリスマスは日本人にとってファンタジーだった。この残酷な現実を一瞬にして変容させてくれる、ファンタジーであった。

クリスマスソング

街はクリスマスイルミネーションで彩られ、そこかしこからクリスマスソングが流れだす、一年で最も華やかな時節となりました。イベントの予定等入れずに、音楽を楽しみながら、それぞれが(ファンタジー)空想にふけるクリスマスもあって良いのでは?

「ほとんどの日本人はクリスチャンでも無いくせに」なんて野暮な事は言いませんが、多くの人(特に独身者)がクリスマスの時期に大きなプレッシャーを感じているのでは?

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戦後、アメリカ進駐軍の対日占領政策は、《口》には、大量の小麦消費の市場となるべく、パン食文化の促進、そしてコカコ ーラ。《目》には豊満な女優さんが彩る数々のハリウッド映画。《耳》にはスイングジャズをはじめとする、アメリカンポップス。そして《脳》には、(民主主義)という自由をスローガンとした新たなイデオロギーで洗脳し、敗戦で打ちひしがれた日本人の心に、快楽至上主義という麻薬を打ち込みました。

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中でも『クリスマス』というイベントは、映画や歌をともなって日本人に異常に親しまれます。そこでビング・クロスビーナット・キング・コール

当時のジャズボーカルと言えば絶大な人気を誇ったフランク・シナトラディーン・マーチンルイ・アームストロングなど、沢山いましたが、ここは僕の好みでこのお二人。女性ボーカルは多過ぎて選べないので、 次の機会に。

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で、『クリスマスソングの王様』ビング・クロスビーの登場です。

当時マイクロフォンの普及で、オペラなどの従来の歌唱法が大きく変わり、その先駆けとなったのがビング・クロスビー『クルーナー・スタイル』。優しく語りかけるような歌唱で、 世界中のファンを魅了したその歌声は、ノーマン・ロックウェルの絵画と共に、戦後の良きアメリカの象徴でした。

彼の歌うクリスマスソングは、キリスト教の宗教観とはかけ離れた、ファンタジーとしてのクリスマスを日本人の心に根付かせま した。

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その後現れた天才ジャズピアニスト&ボーカリスト、『魅惑のベルベットボイス』ナット・キング・コール

大ヒットした 『The Christmas Song』をはじめとする彼の歌声を聴く度に、生きていて良かったと思わせてくれます。彼の功績は、彼の歌った歌のほとんどがジャズのスタンダードとなり、その後、どれほどのミュージシャンがどれほど演奏した事でしょう。

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このような素晴らしい音楽や映画や小説(クリスマスにまつわる物語は沢山ありますね)を楽しみながら、静かにクリスマスの夜を過ごすのも粋なもの。

近年、イベント狂日本のクリスマスは、恋人と共に過ごさなければ(特に独身者)寂しい負け組の様に扱われ、クリスマスに限らず、年中商業主義のイベントに巻き込まれる人達は、相当なプッレシャーとストレスを感じているはず。

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そこで提案です。商業主義の画一化されたイベントに巻き込まれずに、それぞれがそれぞれのクリスマスを過ごす事の出来る日本の正しいクリスマスのあり方を探そうではありませんか。

最後に勝手に一人で宣言!

日本のクリスマスは日々の現実を生き抜くために、それぞれがファンタジーを創造し、それをゆっくり楽しむ日と致します。

おしまい