歌謡曲の消滅。CD売り上げの激減。大衆のテレビ離れ。 この時代に紅白歌合戦の存在意義はあるのか?

NHK紅白歌合戦

出場歌手が決定すると、毎年のように疑問視される紅白歌合戦の選考基準。歌謡曲の消滅した10年程前から、すでに選考基準は定まらず、その存在意義さえ疑われる昨今、今一度考えてみましょう。『NHK紅白歌合戦とは何か?』

1951年から放送が始まったNHK紅白歌合戦。当時はまだ日本のテレビ普及率は低く、街中に設置された『街頭テレビ』の周りに人々が集まって見ていた時代でした。高度成長の波にのってテレビ普及率も伸びて行くと同時に、NHK紅白歌合戦も今の形に整いつつ、その権威も揺るぎない物となり今に至っております。

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日本歌謡曲の全盛期と共に、NHK紅白歌合戦も全盛期を迎え、1960年代〜1980年代がもっとも華やかな時代だったのではないでしょうか? 当時はどの歌い手さんも3〜4ヶ月に一度位のペースでシングル盤をリリースし、レコード売り上げも 、広い世代に渡って本当にヒットした曲がそのまま売り上げに直結していました。

ですからNHK紅白歌合戦も、その年のヒット曲のオンパレードで、オールスターが紅白に分かれて競い合う、文字通り夢のような歌の祭典でした。

紅白出場歌手ともなれば、翌年一年は仕事に事欠くことなく、ギャラも大幅にアップするほど権威のあるもので、どの歌手も競って出場を望んだものです。

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時代は巡り、この平成の時代、レコードの形態も変化しCD(握手券等の付録付き)や音源をダウンロード出来る時代に、純粋にヒットした曲を見極めることすら困難になっています。歌謡曲そのものが成立しなくなり、通常のベストテン番組の順位付けすらもままならない状況で、何を根拠に選考するのか?

NHK側の選考基準の説明としては、①今年の活躍②世論の支 持③番組の演出・企画に沿う という何とも曖昧なもので、毎回毎回批判の対象となるのも仕方ないことでしょう。

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このように毎年沸き上がる紅白不要論に対して、どのように演出すれば今の時代に則した紅白に再生出来るか?

実現出来るか出来ないかは別として、こんなのはどうでしょう?

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毎年放送されている小田和正『クリスマスの約束』という番組があります。中でも2009年放送した、出演アーチストの楽曲を繋いだ25分にも及ぶメドレー。個々のプライドをかけた真剣勝負で、その緊張感たるやテレビ画面からもほとばしる程の圧巻のパフォーマンスでした。

これを演歌、アイドル、ロック、フォーク、クラシック、ラップミュージック、等それぞれのジャンルでチームを構成し、30分程の尺でジャンル間の対抗戦をやります。

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例えば演歌。近年、紅白においての演歌の扱いの酷さは目を覆うほど。サッパリわからない演出で、アイドルを後に従え困惑気味に歌っている五木ひろし細川たかし。見るに忍びない程。本来、演歌歌手の歌唱力、表現力は、他のジャンルの歌手を圧倒しています。特徴を生かした演出とアレンジ次第で、その実力を思う存分発揮出来るはず。

他のジャンルのアーチストも、しっかり作り込んだ完成度の高いパフォーマンスを見せつければ、そのジャンルを大きく活性化させる事も可能でしょう。

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まあ実現は不可能でしょうが、もし実現したら少なくとも僕は絶対に見ます。紅白歌合戦は生放送です。今、テレビの最後の武器は生放送の緊張感と、ハプニング性だけです。その一瞬に才能豊かなタレントさん達が集まって、ガチの真剣勝負を見せてくれるのであれば、又それをそのまま放送してくれるのであれば、きっと視聴者の心を打つはず。

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年々テレビ離れが進む中、NHK紅白歌合戦に限らず、今のままではテレビ業界は衰退の道まっしぐらです。思い切った改革無しには、視聴者は戻ってこないでしょう。

ガンバレ紅白! ガンバレテレビ!

おしまい