映画《キネマの神様》晩年のゴウちゃんは、何故に神様に救われたのか?

キネマの神様 感想

良くも悪くも、最初から最後まで山田洋次監督作品

未だに猛威を振るう新型コロナウィルス。そんな中、様々な事情を乗り越えてこの映画を完成させた、山田洋次監督を始めとするすべての関係者の方々に対して、最大の賛辞を送ります。 だけど… 

待ちに待ちに待ちに待って、期待感に胸を大きく膨らませながら劇場へ。


だけど…


だけど…


晩年のゴウちゃんに、ピクリとも感情が動かなかったのは僕だけなのか?


夢破れた後、ゴウちゃんはキネマの神様に愛されるに値する、どのような人生を送ってきたのか僕には解らなかった。


ゴウちゃんは若かりし頃を思い出しただけで、何をもって映画に対する情熱や感受性を取り戻すことが出来たのか僕には解らなかった。


そして、晩年のゴウちゃんにどれほどの《映画への愛》が残っていたのか僕には解らなかった。

からす


原作(原田マハの小説)のゴウちゃんは、どうしょうもないクズ人間だったけれど、最後まで映画をひたむきに愛し続けた美しさだけは確かにあった。
生涯狂ったように映画を見続け、その感想を日記に記し続けたゴウちゃんの《映画への愛》


そのひたむきな愛ゆえに周りの人々は、そして《キネマの神様》は、ゴウちゃんのどうしようもない《業》さえも肯定したのではなかったか?

からす


沢田研二沢田研二たる所以は、生涯消えることのない音楽(ロックンロール)に対するひたむきな愛。
その《音楽への愛》《映画への愛》に置き換えて演じることの出来る場面を 役者・沢田研二(円山郷直)にもっともっと与えて欲しかった!


僕はそんな《映画への愛》に溢れる円山郷直を演じる、沢田研二を観たかった!


山田洋次監督自身の映画に対する愛情はスクリーンから滲み出ており、小津安二郎、清水宏 、原節子等に対するリスペクトも強く感じ、映像の美しさや日本映画全盛期のノスタルジーは素晴らしかったのだけれど…。

 
夢破れてもなお、生涯《映画への愛》を育み続けた愛すべきギャンブル&アルコール依存症のクズ人間、晩年の円山郷直はスクリーンの何処にいたのか?

からす


あくまで個人的な感想で、そんな円山郷直を感じ取れなかった僕にこそ《映画への愛》がなかったのかもしれません。


そこに愛はあるんか!!

おしまい

『映画《キネマの神様》晩年のゴウちゃんは、何故に神様に救われたのか?』へのコメント

  1. 名前:ジル 投稿日:2021/08/24(火) 16:36:28 ID:baf1c901c 返信

    60カラス様
    心優しい御言葉ありがとうございます。
    実は今回の映画についてのコメント、すべてが送信するもエラ〜ばかり起こってしまい焦って決定稿を送り損ねました。
    松竹映画100周年記念作品。2020。…後半制作は主役の他、どのような変更を余儀なくされたのか、また敢えて変更したのか、 知りたいところです。

    東村山〜 …㊗️コレは、不謹慎だと思い、削除。(2001.NHK.ふたりのショーでのコンビの愉しい有り様が浮かんでしまい、思わずアソレソレ‍♀️)

    臆面もなく連発するようになったのは❣️

    後半…老年のゴウ役・沢田研二。親友のテラシン・小林稔侍。
    ( 1986NHK朝ドラマ「はね駒」主役の恩師と父親。昨年やっと再々放送で見たので、感慨深かったことでした。)

  2. 名前:ジル 投稿日:2021/08/21(土) 00:53:05 ID:68a2cb367 返信

    60カラス様
    昨晩は失礼いたしました。実は私、映画はあまり観てきておりません。
    例外。嘗て駅前に暮らしたことがあり、隣の隣が映画館。サリー❣️が出る、いや、岸部一徳氏がご出演と聞き、清水次郎長の大政役を一目見んとて行ったことがありました。最後は「おくりびと」…その映画館は閉館。郊外にできたモールのシネマコンプレックスに負けたようでした。
    ≪映画への愛≫ が私にあるとは、とても思えません。昨晩のコメントは一夜明ければ、ただの恥。消去もできず。ただ恥。
    ジュリーへの愛はあります❣️それ故とは言え、恥晒し。
    最近臆面もなくを乱発いたすようになりました。会いたい人に会えません。covid-19感染拡大状況の影響をヒシヒシと感じております。(映画観賞…ワクチン接種有効後、不織布マスク二重装着いたしました)
    この映画も2020製作、松竹映画の記念すべき作品という運命を背負って、制約を受けてしまいました。老年ゴウの描かれ方は甘受して、ただひたすらゴウを演じる方を観に行ったことは、いずれ笑い話となるでしょう。(菅田君と沢田さんは可愛いくチャーミングなところが共通していると感じました。)
    バスター・キートン….ジュリーの口から出た途端、ゴウを忘れてしまいました。
    私のワン・シーンです。

    • 名前:60カラス 投稿日:2021/08/21(土) 08:41:28 ID:3c1ff5e64 返信

      ジル様

      再びコメント、ありがとうございました。
      映画は、観た数の自慢ではなく、自身が心動かされ(感動)、それがそのままどれほどに人生を豊かにしたかがすべてだと思うのですが、如何でしょうか?

      憧れのスターの言動だけを楽しみに観る
      好みの監督の作品を観る
      感動した原作の映画化を楽しむ
      何の予備知識も持たず、なんとなく観る

      すべて正解!オールOK! 
      自分と違う感受性の持ち主へのリスペクトさえ忘れなければ、ジル様が恥じることなど1ミリたりともございません。
      バスターキートンの映画の如く、世の中は理屈では成り立っていません。
      今後も自由にハッピーに映画を楽しみましょう!

      《おくりびと》、僕も大好きな映画の一つでした。
      スクリーンに流れるイメージが似ていて、すごく感動した映画に《舟を編む》があります。
      もしご覧になられていなければ、いかがでしょうか? ジュリーは出ていませんが…。

  3. 名前:ジル 投稿日:2021/08/20(金) 17:09:13 ID:d30039810 返信

    追伸 : お名前の表記を誤ったまま送信してしまいました。失礼をお詫びし訂正いたします。
    もちろん正しくは 「 志村けん」さん

    • 名前:60カラス 投稿日:2021/08/20(金) 20:22:33 ID:c39a5810d 返信

      おぉーーっ!律儀な性格でいらっしゃる。

      『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』と言っていたくらいだからいいんです!
      私なんぞは山ほどの誤字脱字。書き間違いに、聴き間違い、大法螺吹いて嘘八百。
      それでも何とか生きてますっ!

  4. 名前:ジル 投稿日:2021/08/19(木) 22:24:37 ID:c56148ebc 返信

    映画≪ キネマ の神様 ≫
    観て参りました。原作を読んでおこうと思って居りましたが、映画では老年ゴウの部分が異なると知って、目を通しませんでした。映画はどうでもよいという訳ではなかったのですが、とにかく沢田研二さんのお顔が観たかった、姿が見たかった、声が聞きたかった。結果、それだけでございます。

    東村山〜〜 ㊗️ ジュリーの歌声が聴けました❣️(直前に、この情報は得ておりました。)
    満足、満足でございます。志村ケンさん、背後霊でご一緒に東村山〜〜

    志村さん、沢田さん、いずれの方でも、青年ゴウ菅田君とイメージが重なったり繋がったり、そんな事はあり得ません。ゴウは青年と老年とでは違っているからです。
    青春の夢と挫折。
    好きな場面は老年ゴウと孫の青年とのやり取り。
    若き日の祖父の才能の煌めきを発見しコンクールに応募しようとする引きこもり青年。
    自分の夢を掘り出してくれた孫との愉しい日々。

    人生の終わりに、こんなダメ爺にも素敵な贈り物があったら。。。

    • 名前:60カラス 投稿日:2021/08/19(木) 23:20:14 ID:0d049168e 返信

      ジル様

      素敵な感想、ありがとうございます。

      やはり一本の映画でも、その感じ方は人それぞれですべて正解なのでしょう。
      人は自身のフィルターを通して世界を感じるもので、みんな違ってみんないい。

      映画に描かれてない空白の時間をどのように感じとるのかで、この映画の賛否が分かれるようですね。 願わくば山田監督には、夢破れてから晩年のゴウちゃんに至るまでに貫いた《映画への愛》をワンシーンだけでもいいので入れて欲しかった…。 

  5. 名前:三木 恵子 投稿日:2021/08/17(火) 15:10:32 ID:86fcf44e0 返信

    私も同感です。原作のカッコよさが、なんか全然なかった気がして。
    原作を読まずに観たらまた違ったかも知れませんが。
    それが怖くて読まなかったのに、封切が遅くなりつい読んでしまい・・・。
    何度も観ようと思ってたのに、なかなかです。
    正直に書いて下さってありがとうございます。
    勇気に感謝。

    • 名前:60カラス 投稿日:2021/08/17(火) 17:50:34 ID:b691ab074 返信

      三木恵子様

      コメントありがとうございます。
      映画は封切られた時点で観客一人ひとりの物だと思いますので感動された方に対しての異論は全くなく、ただ僕個人としては感動する感受性を持ち合わせていなかったということだと思うのです。
      ただ、ジュリーファンの間でも三木様と同じような方が結構いらっしゃることに驚いております。
      僕は、ウッディアレンの《カイロの紫のバラ》が大好きな映画だったので、今の時代に賞を受賞する脚本の内容に、「えっ!なんでっ!」と、心の中でツッコんでおりました。
      おっしゃるように原作を読んでいかなかった方がよかったのかもしれませんね。

  6. 名前:内藤洋子 投稿日:2021/08/13(金) 00:15:06 ID:1ae0f443d 返信

    初めまして。カラスさんのブログいつも楽しく読ませていただいてます。
    私も映画みたのですが、同感です。
    永野芽郁と宮本信子は繋がるのですが、なんか菅田将暉とジュリーが繋がらないのです。カラスさんのブログ読んで府に落ちました。最後は『北川景子』に持っていかれちゃいましたしね(笑)

    • 名前:60カラス 投稿日:2021/08/13(金) 09:16:51 ID:d37023a93 返信

      内藤洋子様

      コメントありがとうございます。

      このような感想はブログに上げるべきではないのでしょうが、以前、志村けんの代役がジュリーに決定した際、調子に乗り過ぎて2本もの記事を上げてしまった手前、スルーするわけにもいかず、ジュリーファンの反感を覚悟で正直な感想を書いてしまいました。 
      内藤様のような賛同はチラホラあるようなのですが、大きなバッシングは皆無で、今更ながらジュリーファンの寛容さに感謝しております。

      ※ラスト、人生最後の映画が《東京物語》だったのは素敵でしたね。