言葉をイジクリ回しながら、その共通概念を破壊し、独特の哲学的フィー ルドで笑いを創造する、天才双子女漫才師、Dr.ハインリッヒ!

Dr.ハインリッヒ

結成13年目、地上波テレビの露出もほとんどなく、M-1グランプリの決勝も未だにはたしていないのですが、芸人仲間からは大絶賛されている希有な女漫才師。独特のインテリジェンスを醸し出すその世界観はまさに圧巻です。

「どんな脳ミソしとったら、こんなネタ書けるんや!」と、思わず叫びたくなるような、従来のどの漫才にも属さない、 奇想天外なネタをやり続けて10年余り。未だに一般的な知名度は無きに等しい平成アングラ女漫才師です。

そのネタの内容ですが、女漫才師で、双子で、スタイルもよく、そこそこ美形で…と、ネタにしようと思えばいくらでも探せる素材を持ちながら、その一切をスルーし今迄の男漫才師でもつくり出せなかった、文学的、哲学的、宗教的?… それらのすべてを飛び越えた、インテリジェンスなのにアホで男前なネタを見せてくれます。

からす

男漫才師とネタで真っ向勝負出来る女漫才師としては、以前紹介した『Aマッソ』がおりますが、このDr.ハインリッヒは 京都出身だけあって(Aマッソは大阪・住吉区出身)、いけずで、したたかで、腹黒い感じが満載で、観客に不親切で、ちょっと突き放した感があります(そこがおもろいのですが…)。

からす

Dr.ハインリッヒらしい、大好きなネタのひとつに、都会で一人泣いている子供に(向かって左側)が問いかける場面があります。

年の頃、5才位の女の子に…

幸 : 「どうしたんだい、お嬢ちゃん。まいごかい?」

子供:  「ちゃう」

幸 :  「じゃあ、どうしたんだい?」

子供:  「昨日三食、ご飯を食べたのに、今日も三食、ご飯を食べないといけないの  やぁーっ!」

彩 :  食べたらええやん! 一日三食、ご飯を食べられる事が、どんだけ幸せな事か。

幸 :  だからゆーてあげたんやで、「とても幸せな事なんだよぉ」

子供:  「それはわかっている」

彩 :  じゃあ、なぜ泣く?

子供:  「それはわかってはいるのやけど、ただちょっとむなしくもあるのさ」

彩 :  …まぁ、子供は時として哲学な言葉を口にするからなぁ。

その後 年の頃、7才位の男の子に…

幸 :  「どうしたんだい、坊ちゃん。まいごかい?」

子供:  「ちゃう」

幸 :  「じゃあ、どうして泣いているのだい?」

子供:  「ワイの中に、鬼がおるのや!鬼を追い払いたいのやけども、鬼がおってのワイやさかいに、鬼を追い払う訳にはいかへんのやぁ!でも鬼がおるのが、かなんのやぁ!」

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どうですか?

「どこがおもろいねん!」と言われればそれまでなのですが、ライブでのDr.ハインリッヒの独特のイントネーションで語 られると、非常にシュールな映像が脳裏に現れ、いままで体験した事の無い面白さ(あえて言えば、ピース又吉のコントネタに近い匂いを感じる?)を味わえるのです。

構成や流れ、前フリやオチなどよりも、全体のイメージを感じながら、言葉の言い回しの面白さを楽しむ感じでしょうか? 吉本興行のデータに「2004年結成」とありますので、長い間諦めずに、よくここ迄頑張って来たもんです。

からす

希有な才能を持った芸人さんだからこそ、絶対に売れてほしいものです。 ダウンタウンの松本人志の評価も高い様なので、今年のM-1こそ、なんとか決勝進出してもらって世間を「あっ!」と 言わせてもらいたいものです。

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おしまい