ジャルジャルの前に道はなく、ジャルジャルの後に道はなし。

ジャルジャル

ネタの独創性、発想力、演技力、身体表現力、練習量。どれをとってもピカイチの、ジャルジャル。そのジャルジャルの時代は何時になったらやって来るのか?

過去、キングオブコントM-1グランプリの決勝において圧倒的な力を見せつけながらも、敗退して来たジャルジャル。 様々なスタイルが出尽くした感のある、現代の高レベルなお笑い界の中で、まったくパターン化されていない、どのラインにも属さないその独創性は、時代の先を行き過ぎている為か正当な評価を受けているとは言いがたく、そこそこテレビには出ているものの、時代を席巻するに至っておりません。

からす

初めてテレビで見たジャルジャルのコントは、面白い以上にその斬新さにビックリしました。

ネタは台本にはおこさないで、お互いのアイディアを口頭で言い合って、そこから即興的にやりながら作り上げて行くスタイルだそうです。基本的にボケもツッコミもハッキリ決っている訳ではなく、それも感覚でその時々で変化している様です。 2009年、2010年とキングオブコント決勝で見せたネタは、審査員(当時は準決勝で敗れた芸人たち)にはそれほど評価されずに終わっていますが、同じ芸人なら、このタイプのコントを作リ上げる難しさやその凄さをわかるはず。理解出来ていない芸人がいる事は、非常に残念でなりません。

からす

コント『しりとり』のように言葉遊びのネタや、コント『おばはん』のように一つのボケを徹頭徹尾繰り返すしつこいネタ。 コント『手押し車』『しつこいひったくり』のように終始身体表現だけのネタなど、スタイルそのものもパターン化せず多岐に渡っております。

凄まじい練習量(相当やっているはず)に裏付けされた演技力と、ライブで鍛えられた即興(アドリヴ)の対応力は、このコンビに勝るものはありません。

からす

そもそも、根本的な発想が他の芸人さんとまったく異なるため、面白いと思える人と、まったく意味が分からないと思う人に二分され、一般に浸透するのに時間がかかってしまうようです(というか理解されないまま終わってしまう)。

からす

今の時代は、どのジャンルも既にあるものをセレクトして、それを組み合わせる能力(いわゆる企画、構成、編集能力)が重宝(お金になる)されるようで、オリジナルを創造することにそれほど価値を見いだせない様に思われます。既にあるものをアレンジし、より発展させ、それ以上のものを提供する事は大衆に理解してもらい易く、リスクも低いものです。

もちろんその作業も大変意味のある事でしょうが、それ以上に新しいスタイルを創造する事は、簡単な事ではないはず。 パソコンのソフトで、コピペの作業を繰り返しながら物作りを進めて行くと、大変便利で、効率的で、良い事ずくめなので すが、オリジナルの発想力が削がれて行くことが身にしみてわかります。

からす

マニュアルに頼る事無く、その時々のインスピレ ーションを大切にし、即興的に物を作っていく事が、新しいものを創造して行く上で不可欠なものと思うのですが…。

ジャルジャルの、自分たちの作り上げたスタイルを惜しげも無く破壊しながら、常に新しいものに挑んでいく姿勢は、もっと、もっと評価されて良いはずです。

からす

そのネタをテレビで見る機会が、もっともっと増える事を願ってやみません。

おしまい