日本エンターテーメント史上最高の女性デュオグループ  その名は『ザ・ピーナッツ』!!

ザ・ピーナッツ

もっと、もっと、もっと、再評価されて良い『ザ・ピーナッツ』。 その抜群の歌唱力とハーモニーの美しさにおいて、いまだにこのデュオを越えるグループは出現しておりません。

僕の初『ピーナッツ』のお話を少し。

我が家に誰も見たことも無い物を次々と持ち込み、自慢する事が趣味の一番上の姉が、高校生の頃(1963年頃)、当時流行していたポータブルプレーヤーなる品物を友達から借りて帰ってきました。

赤とクリームベージュの鮮烈な色彩のボディが眩いプラスチックのふたを開けると、中には丸いターンテーブルにトーンアームと丸いダイアルが二つ(ボリュ−ムスイッチと 回転数切換え)。今にして思えばたったそれだけのシンプルな機械なのですが、当時、保育園児の僕にすればまさに夢の玉手箱。

からす

「姉ちゃんこれ何ね、どおするん?」と尋ねると、姉は超自慢げな顔をしながら、鞄から若い双子の娘が映った真っ赤な四角いジャケットを取り出します。黒い円盤状の物体(当時のシングル盤・EP盤)をターンテーブルに置き、その上にレーコー ド針を乗せると……

ズンチャチャズンチャ、ズンチャチャズンチャと4ビートジャズのイントロからアタックの効いたホーンセクションの音。《恋のバカンス》は、テレビで知ってはいましたが、レコードで聴くその音のパンチ力はハンパなく、一発でノックアウト!

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6畳と4畳半2間の市営住宅の汚い我が家が、オーシャンブルーの海と真っ白な砂浜。灼熱の太陽が降り注ぐリゾート地に! 行った事も、見た事もない南国の海の香りが一気に汚い部屋中に立ちこめ(妄想)ます。本当に垢抜けた音で、工業地帯の光化学スモッグ立ちこめる町の、さらに山奥の貧乏長屋に住む家族6人、意味も無くウキウキワクワク、夢見心地です。

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ピーナッツのユニゾンの美しさとパンチ力、さらにハモリにいたっては、美しさもさることながらその重厚感はアンドリュース・シスターズをも凌ぐ程。実際、当時全米で大人気の「エド・サリヴァン・ショー」にも出演。ちょっと力が入り過ぎの感はあったものの、圧巻のパフォーマンスで全米に大和撫子の心意気を見せつけてくれました。

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「ザ・ヒットパレード」「シャボン玉ホリデー」等にレギュラー出演し、テレビ黎明期の歌番組には欠かせない存在となり 1975年、姉(エミ)沢田研二との結婚のため引退するまでの16年間、芸能界を一気に駆け抜けました。

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華やかな芸能界で、バラエティーや女優の仕事も器用に明るくこなしていましたが、実際は人前に好んでグイグイ出て行くタイプではなかった。

スタンダードジャズのバラードや演歌的な曲も、素晴らしく説得力のある歌唱で、内面の精神性(底知れぬ孤独感)を垣間見せる瞬間があった様に思います。歌やダンスは大好きだったのでしょうが、性格的には、芸能界には向いていなかったような気もします。

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姉(エミ)沢田研二との離婚後、一粒種の息子さんと4年前に亡くなるまで一緒に暮らしていたそうで、妹(ユミ)は生涯独身 で、今年の5月に亡くなられました。

ヒット曲は数えきれない程。その集大成として引退前の番組「さよならピーナッツ」(YouTubeに上がっています)を見て頂ければその素晴らしさを感じて頂けるはず。 又、最後の紅白歌合戦で披露した「ブギ・ウギ・ビューグル・ボーイ」では、最高のエンターテーメントを見せてくれます。

日本エンターテーメント史上、最高レベルの女性デュオグループ『ザ・ピーナッツ』

その功績を讃えると共に、心から哀悼の意を捧げます。

おしまい