沢田研二・70YEARS LIVE『OLD GUYS ROCK』福岡国際センター観戦記 福岡の大空に吹いた二人の風は、きれいな虹にめぐりあえたか?

ジュリー人形

「ボーーッと生きてんじゃねぇーよっ!!」と、毎週チコちゃんに叱られ続けている僕は、「これではいけないッ、目を覚まそう!」「いつまでも引きこもっている場合ではない!」と、福岡国際センターへ。 僕より十ほど年上の沢田研二は《沢田研二70YEARS LIVE『OLD GUYS ROCK』》と銘打って、今年も元気に全国66箇所のツアーを敢行中! いまだ衰えをしらない沢田研二と柴山和彦。この二人のスーパージジィの福岡で起こした風は、はたして、ボーーッと生きている僕の心の中を吹きぬけたのか?(知らんわっ!)

今年のジュリーのツアー情報を得るために、いつものようにジュリーファンのお姉さま方のブログを覗かせて頂いているのですが、何度もこの《からすの落墨ブログ》を紹介いただいている皆様への感謝の意を込めまして、少しご紹介を…。

まずは《Saoの猫日和》さま。

ジュリーファンの間では、沢山の支持を得ているであろう超メジャーなブログなのです。タイガース時代からの筋金入りのジュリー狂。その文面からは、優しくて知的で几帳面な感じが滲み出ており好感度抜群! 僕は時々あがっているガーデニングの花(何の花か全然わからんのだけれど)の写真がとても美しく大好きで(無茶苦茶手間かかっとるはず)、ジュリー情報と共に楽しみにしているのです。  いつもありがとうございます。

次は《ju-jukomachiさんのブログ》さま

こちらも超有名サイト。関西人特有のユーモアと、どこかサバサバした男前の文章がツボ。ジュリー情報と共に、阪神タイガースのネタも時々のっております(あんまし興味ないけど…)。 一時期とても気に入っておられたのか、《仙人ジュリー》の怖い写真を何度も何度もイジリ倒しており、ジュリーファンの鏡(ふところの広さ)だと大変尊敬しております。 いつもありがとうございます。

そして《あ・わんだふる・たいむ》さま

この方の感性はとても瑞々しく少女のような文章。お上品な言い回しで語られるジュリー情報は、ファンの方々の共感も多いようです。とても優しさのあふれた色鉛筆のイラストは、ジュリー大好き感が溢れ出ており、この方にしか描きえないもので、見る度にほっこりな気分に。かわいらしすぎるジュリー様なのですが、そう見えているんだから良いのです。 いつもありがとうございます。

ツイッターでは《candy》さま いつも紹介頂きありがとうございます。

その他にもブログやツイッターで紹介いただいている皆様方、感謝感謝でございます。

からす

さて、今年もいよいよ沢田研二70YEARS LIVE『OLD GUYS ROCK』のチケット購入の季節に。 去年のジュリーのライヴは、かみさんを誘って見事玉砕し、結果ボッチ参戦に。僕もバカではありません。多少の学習能力は有しており同じ過ちは繰り返さないのでございます。

一番上の姉(ジュリーのファンではなかった)が何年か前、嫁ぎ先の佐賀県武雄市でジュリーのコンサートを観ていたらしく、その話を小耳にはさんでいだ僕は、今年はその姉を誘おうと思いつきます。去年は一人で行ってもそれほどの違和感は感じなかったのですが、今回もジジィ一人で観に行くのもいささか厳しいものがあり、思い切って電話を。

   あーーー、俺。

姉   なんね。

   い、いや 何もないんやけど。

   何もないんやったら 切るばい。

   なんですぐ切るっ! ……毎日暑いけど身体は大丈夫ね?

   気持ちわるっ、 あんたに心配されるほど落ちぶれとらんばい。

   忙しいと?

   がば暇ばい。

僕   がば暇なら、コンサート観にいかん?

姉   誰と何を?

   俺とジュリーを。

   何が悲しゅーて、あんたと二人でジュリー観に行かないかんと?

   いいやん、たまには。

   あたしこの前、○○さん(僕の嫁)に頼んで嵐のファンクラブに入れてもらったけ、今度○○さんと嵐のコンサートに行くんよ。

   はぁ?  何時から嵐のファンになったと?

   ずーーーーーーーーーーーーっと前から松潤のファンですけど、なにか?

   ま、松潤ーーっ! いい年こいて松潤!(さすが我が母の子)  で、でも嵐のコンサートはまだ、だいぶ先やろうが?

   気合でチケット当てんばやけ、ジュリーやら観とる暇なかと。

   でも何年か前、ジュリーのコンサートに行ったんやろ?

   行ったけど、知らん曲ばっかりやったばい。

   今度のは昔の曲も結構歌うよ。しかもピエロの派手な服着てギターと……

   (人の話を全く聞かずに)嵐のDVD《untitled》買ったけ、もうお金がなかばい。

   嘘つけ! 年金いっぱい貰っとろう……

   (引き続き人の話を全く聞かずに)じゃ、切るばい。 ブチッ!

   おっ、おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!(泣)

からす

僕の知らないうちに、いつの間にか、うちのかみさんと共に《アラシック》となっていた、とんでもないババァ二人(ももクロファンの僕も同じようにとんでもないジジィなんだけど)。 去年は櫻井翔、今年は松本潤に阻まれ、今回またしてもボッチ参戦……。

そう、僕のような姑息な人間には天は容赦なく試練を与え続けます。こうなったら開き直って沢田研二大ファンのジジィとして、一人正々堂々と福岡国際センターの門をくぐろうと決意! コンサートチケット一枚を 正々堂々と《チケットぴあ》にて購入。そして9月19日、沢田研二&柴山和彦に対して、正々堂々真剣勝負を挑みに、散髪行って、爪切って、歯を磨き、禊の水風呂に浸かって いざ、福岡国際センターへ!(普通に行けよ)

福岡国際センターは、毎年、大相撲九州場所の行われる会場で、若いころはプロレス観戦に足をはこんでいた思いで深い会場なのです。キャパ10,000人程の会場で、福岡ではヤフオクドーム、マリンメッセに次ぐ、三番目に大きな会場。去年はキャパ2,300人程の福岡サンパレスだったので、そのなんと約4倍! ジュリー、今年は攻めに攻めております。

チケットに書かれてあった開場時間が15時30分。そして開演時間は17時というけっこう中途半端な時間帯なのです。「仕事終わってないから行けんやん!」と諦めた人もいたはず。 しかもキャパ10,000人という、けっこう高いハードルで、どれくらい埋まるのか非常に心配していたのですが、な、なんと満員御礼! アリーナ席、二階席共にギッシリ超満員御礼!

す、すごい! 何なんだこの集客力は! 大相撲を遥かに凌いどる!

ここ最近は、更にターボがかかったかのような人気復活ぶり。しかも去年よりジジィ率が若干高くなったようで、もう僕のようにジジィ一人で行っても怖くはないのです。

さて、ここからはネタバレ、バリバリです。この後ライヴに行かれる方、読まないでね。

からす

ほぼ黒で統一した舞台。観客の高揚感と期待感が会場全体に充満したところで、ステージいっぱいに映し出されたジュリー柴山和彦(以下、柴山ギター)の若かりし頃から今に至るまでのステージ風景。去年から恒例の、生首ダンスが始まります。そしていよいよ、ご本人登場! この日ジュリーの印象的な最初の言葉は

皆さん、生きようぜーーっ! 死ぬなよーーーっ!

度重なる同世代芸能人の訃報の中、どんな御悔やみの言葉より、このどストレートな言葉は、僕の胸にドーーンと沁みたのでした。

そんなことを払拭するかのような、想像を上回るピカピカハデハデのピエロ衣装で登場した圧倒的な存在感のジュリー。いきなり柴山ギターのインパクト抜群なイントロが鳴り出します。そう、《カサブランカ・ダンディー》

たたみかけるように《彼女はデリケート》から《お前なら》と続きます。 特徴的なギターフレーズと共に、のびやかなでしなやかなジュリーの歌声が、会場いっぱいに心地よく響き渡り、一気に観客を魅了します。 アップテンポのロックンロールでも、ドラムとベースの音がないと、こんなにも歌の歌詞(言葉)が分かりやすく聴こえ、ギターフレーズもクリアーに聴こえるんだとビックリ! しかし柴山ギターは八面六臂の大活躍! ベース、リズムギター、リードギターの三役をこなし、しかも時々コーラスまでも入れます! いざ練習段階に入った時点で、安請け合いするんじゃなかったと、きっと悔やんだことでしょう、おそらく何時もの三~四倍は疲れるはず。

ジュリーも、お願いできるの柴山ギター以外ありえなかったでしょう。 誰も真似はできません。凄いテクニック!そして抜群の相性!

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続いて《F.A.P.P》《あなただけでいい》ときて、いよいよ僕の大好きな《風は知らない》

柴山ギターはアコギに持ち替え、面白いアレンジでイントロが始まります。タイガース時代の風は、本当に何も知らなかったのですが、古希のジュリーの歌う風は、人生のすべての喜怒哀楽を経験(一周回って)し、すべて理解した上で今一度、枯草の上を飛びます。そこに吹く風は《慈愛の風》

♪昨日鳴る 鐘も明日はない

それでもいいのです。人生何があってもオールオッケー! そこに大空が広がっているのだから。そして虹に巡り合うのではなく、風自身が鮮やかな虹を描くのです。 そう、今夜吹いたジュリー&柴山ギターの風は、すべてを知ったうえで何も知らない、秋の夜風だったのです。

みんな、生きようぜーーっ!

からす

そこから《雨だれの挽歌》《ISONOMIA》《我が窮状》と続きます。

《我が窮状》久々に聴いたのですが、やっぱりライヴで生で聴いたら素敵な歌ですね。相当練って作られたジュリーの詞も素晴らしいのですが、大野克夫先生のメロディーは心打つものがあります。やはり天才!素晴らしい! 今のジュリーの歌は、CDで聴くよりもライヴで聴いたほうが数段しびれます。皆さん!是非一度ライヴに行って、その響きを感じてみてください(俺は何者だ?)。

そしていよいよ今年3月にリリースされた四曲が立て続けに演奏されます。

自慢じゃないが、こっちはこのCD、腐るほど聴き込んでいるのです。「さぁ、どこからでもかかってきなさい!」と身構えていたところ、スクリーンいっぱいに映し出された縄文杉のしっとりとした映像の思いがけない美しさに、アホな僕は静かにノックアウトされます。その縄文杉をバックに、柴山ギターの美しい音色が響き渡り、ジュリーの歌声が、ホーホケキョと鳴くのです。

屋久島の深い森に分け入って、苔むした原初の気配を感じながら(行ったことないけど)漂っているような気分……。 四曲の詞の意味を考えながら聴くのですが、途中から意味なんかどうでもよくなって、ジュリーの歌声の響きと、柴山ギターの音色だけを感じていると、縄文杉が発する波動にシンクロしているように思えます。 やはり音楽は理屈ではないのでしょうね。

からす

《A・C・B》《マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!》と、ノリの良い演奏が続き、早くもラストの曲《Dont be afraid to LOVE》

素晴らしいバラード。この手のバラードをジュリーに歌わせたら天下一品! 男の僕でもジュンとしちゃいます。 ここまで観ていてなんとなく思ったんですけど、ジュリーだけの無伴奏のアカペラの曲を一曲くらい聴きたいなぁと。しかもマイクなしでバラードを滔々と歌ってほしい。更には柴山ギターのソロで、インストゥメンタルを一曲。思う存分のギターソロを聴きたい(伴奏だけでクタクタやっちゅーとんねん!)。

ここまであっという間の一時間半。

そしていよいよアンコール。トラディショナルなイングランド衣装(スカート)にお色直し。これもブログ情報で知ってはいたのですが、遠くからだったので何の違和感もありませんでした。いつもながら達者なMCで会場を沸かせ、アンコール《ROCK’N ROLL MARCH》と、いよいよラストは《ヤマトより愛をこめて》。 この曲もやはりいい曲ですねぇ。そう、またしても大野克夫先生の美しいメロディー。

からす

耳を澄まして、眼を瞑り、ジュリーの歌声と柴山ギターの音色を聴きながら最後に思ったこと。

やはり歌手は声質がすべて!

このブログの記事で何度も書いてはいるのですが、まず最初に人の心を掴むのは、声の質と響き方なのでしょう。 「今更なんだ!」と思われるでしょうが、ジュリーの声質と声帯の強さは、生まれながらにして天から授かったもの。若かりし頃は更に信じられないほどの美貌も兼ね備えていたのですから、売れないわけがありません。長年の努力で培われた歌唱力と表現力を手にした今のジュリーの歌声は鬼に金棒、ジュリーに柴山(今作りました)。

日本語の言葉の響きは、その意味合い以上に、音そのものの響きが意味を持つと言われています。美しいメロディーに乗せてジュリーの歌声で放たれる日本語の波動の心地よさは、万人に伝わるものなのでしょう。その日本語の響きだけで心地よいのです。

さらに、ジュリーの歌声からは、達者な歌手特有の、歌うまいだろう感歌うことに酔いしれている感を ほとんど感じないのです。

いわゆる、鼻につく感じがない。

もちろん歌手としての矜持はしっかりあるのでしょうが、自身のテクニックや声量を見せつけようとするいやらしさがないのです。良寛和尚が言っていた「詩人の詩や、書家の書ほど嫌なものはない」の言葉の意味が、その鼻につく感じのことなのでしょうが、50年歌い続けている歌手が、そのいやらしさをまとっていない事は信じられないことなのです。

だからこそ、レトロ感をほとんど感じない現役バリバリの気配を保っているのでしょう。既にしっかりジジィだし、無理して若作りしているわけでもないのに、瑞々しいのです。色っぽいのです。艶っぽいのです。

からす

今回のジュリー&柴山ギターの形態で、あと10年は頑張るそう。

第一形態、第二形態と《シン・ゴジラ》のごとくその形態はその時々によって変容してゆくジュリー。タイガース時代が第一形態なら、ソロデビューで第二形態、息を吹き返した還暦のジュリー祭り以降が第三形態とするなら、新しい試みが始まった古希の今年からは、第四形態となるのか?

《シン・ゴジラ》が地球意識の現れだったとするなら、第四形態のジュリー&柴山ギターの意識は逆にどこまで地球意識に干渉できるのか? そして何処まで増幅するのか?

《ジュリー&柴山ギター》第四形態は、次々に星となって消えてゆく同世代のミュージシャンや役者の分まで、何時までも、生きて生きて生き抜いて、歌って歌って歌い倒して、この末法の世に《慈愛の風》を吹かせ、綺麗な虹をその時々に描き続けてほしいものです。

からす

最後に。

皆さん、ジュリーのごとく、軽く、楽しく、美しく、元気に長生きしましょう! 生きてさえいれば今夜の様な、心地よい秋の夜風を感じることが出来るのだから。

人生捨てたもんじゃありません。

今からはシニアの時代。

のさばり倒して、くたばる寸前まで楽しんだもん勝ち!

皆さん、生きようぜーーっ! 死ぬなよーーーっ!

おしまい