【松之丞改メ神田伯山真打昇進披露興行】 “絶滅危惧職・講談師”を救った若き怪物《神田伯山》そして姉弟子《神田鯉栄》

神田伯山・神田鯉栄

絶滅危惧職・講談師の未来を背負う、怪物《神田伯山》 その真打昇進披露興行の様子は、新時代のメディアYouTubeの番組《神田伯山ティービィー》にて垣間見ることが出来るのです。 芸人の裏表、寄席楽屋の芸人の何でもない会話や佇まいの中に、テレビではけっして見ることの出来ない、師匠連中の心意気が映し出されます。

どっこい、いまだ講談師は死なず!


神田松之丞の出現は、すでに死に体であった講談界の救世主イエスの如く映ったのです。 講談は寄席に足を運び、生で観ないとその醍醐味は味わえないもの。ブログに上げたくとも未だ観ることが出来ていない僕には語る資格もなく、ここ二・三年はテレビ、ラジオ、YouTube等でその話術を楽しむでけであったのです。 

特にラジオ番組《問わず語りの松之丞》は秀逸! 徹頭徹尾、人の悪口で終始するこのクソ番組は抱腹絶倒もので、松之丞の話術は既に《悪口語り》の芸として完成されているのです。 特に爆笑問題太田光伊集院光。そしてナイツ土屋伸之との絡みはスベリ知らずの面白さ! 


太田光の出演した《情熱大陸》を徹底的にイジリ倒し、伊集院光から共演NGされた愚痴話。さらにはナイツ土屋からもらった出産祝いが、ドラえもんのポチ袋のたったの千円だった話など、松之丞の話術にかかれば十の話が百にも千にも盛に盛られ、その被害者は数知れず。 

太田光が昔からやっているのですが、他のラジオ番組の内容やパーソナリティをイジルことで、その番組からもイジリ返され、その交流でお互いのラジオ番組を活性化させ聴視者を広めてゆくという手法を松之丞も受け継ぎ、いまやその友達の輪は大きく広がりつつあるようです。

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で、本題のYouTubeの番組《神田伯山ティービィー》

ここ最近、還暦すぎたジジィのわたくし、YouTubeにすっかりハマっておるのです。 そのきっかけは《ジャルジャル公式チャンネル》。 大好きな芸人ジャルジャルのチャンネルで、数々のネタを惜しみなくアップしてくれており、ファンにはたまらないものがあるのです。

さらにはオリエンタルラジオあっちゃん《中田敦彦のYouTube大学》 このチャンネルはあっちゃんが読んだ様々なジャンルの本を元ネタに、熱のこもったプレゼンを展開、内容はそれほど深くはないのですが、そのジャンルの入り口に誘導してくれる熱と力を有しており、その話芸は中田敦彦の真骨頂! 多少の間違いや矛盾はあるのですが、それをジャンル内の人間がバッシングしているそう。感謝こそすれ攻撃するなんて考えられません! こんな了見の狭い人達は、自らのジャンルを自らが衰退させている事実を分かっているのでしょうか?


そして格闘技やプロレスの選手たちのチャンネルも、今まで知り得なかった裏話やエピソードが聞けて興味深いものばかり。 近年は、それぞれのプロフェッショナルの人達が次々とYouTubeに参入して、YouTubeという新メディアの可能性は無限のようです。

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で、今度こそ本題の《神田伯山ティービィー》 長かった…。


神田松之丞神田伯山に襲名。同時に真打昇進の披露興行の様子を身内の芸人さんがカメラを携えて寄席楽屋の様子を撮影。その画像を編集して毎日上げてくれているのです(大変な作業量だと思うのですが…、毎日ご苦労様です)。 

寄席は何度か行ったことはあるもののその楽屋などを覗き見るのは初めてで、非常に面白い! テレビのようにまったく知らないスタッフが回すカメラと違い、顔見知りの芸人が回すカメラに心を許しているヌルーーイ感じの師匠連中の楽屋裏の様子は、このチャンネルならではのもの。ここにもYouTubeの新しい可能性を感じるのです。

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で、このブログを書こうと思い立ったきっかけが、3月4日にアップされた《【密着#22】松之丞が六代目神田伯山になった日 ~3/5発売「週刊モーニング」買ってね~》の回を見た時。


いやぁーーっ、感動しました! 

10回も見てしまったほどに感動しすぎたのです! 

まさに神回でした! 

そして購入しましたよっ《週刊モーニング》

40年ほど前、連載されていたいがらしみきお《さばおり劇場》を目当てに購入していた頃以来の《週刊モーニング》! 立ち読みで済まそうとも考えたのですが、思い直し、神田伯山先生並びに、神田鯉栄先生に敬意を表し金四百円の大枚をはたいてセブンイレブンにて購入。

早速、久世番子《修羅場の人》を読破(たったの44ページだけれど…)! 読み切りだったのでそれほど深くはなかったのですが、面白かったです。 連載になればもっと深く寄席芸人の喜怒哀楽、葛藤、栄光、挫折、嫉妬、羨望などを表現できると思うので、是非連載化出来ることを祈っております。

えっ? 何を話しているのかサッパリわからない?   あーーーーっ!《神田伯山ティービィー》のこの回のお話をする前に《週刊モーニング》の話で一人盛り上がってしまってたのですね。 申し訳ございません。

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《【密着#22】松之丞が六代目神田伯山になった日 ~3/5発売「週刊モーニング」買ってね~》の回は、いつものように神田伯山真打昇進披露興行のレポート動画が映し出されていたのですが、この回が特別だったのは、神田伯山監修の漫画、久世番子《修羅場の人》が掲載された週刊モーニングの発売前日日で、事前に刷り上がった週刊モーニングを寄席芸人の方々に読んでもらい、その感想をインタビューした映像が挟まれていたこと。


久世番子《修羅場の人》の内容はご購入して読んで頂きたいのですが、大雑把に言いますと、神田伯山をモデルにした講談師の修行物語。伯山を取り巻く沢山の姉弟子たちとの人間模様(現代の講談師のほとんどが女性)。一番近い姉弟子泉花の目から見た弟弟子・伯山を描きながら、伯山に対する 泉花 の様々な感情を添付しつつ物語は進んで行きます。

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で、この漫画の感想を鯉栄姐さんにインタビューしたシーンが今回の動画の、いや《神田伯山ティービィー》全編を通してのクライマックスとして、光輝いていたのです! 

鯉栄姐さんが読めば、《修羅場の人》の姉弟子《泉花》に否が応でも自身を投影して読んでしまうのは当たり前のお話。 読み終えた直後に感想を聞かれたので(更に聴き手が気心知れた芸人さんだった)、自身の体験(弟弟子・伯山に対するこれまでの様々な思い)が溢れ出してしまい、包み隠すことのできない生の感情が涙と共に吐露されて、ストレートな言葉となって語られていったのです。 

それを見た時、鯉栄姐さんはごまかすことが苦手で、本当に真っ正直に生きてきた人で(その佇まいに負けん気の強さ、また裏腹な打たれ弱さが垣間見れます)、その不器用さが故に自身をも苦しめつつ、芸の道の修行を続けてこられたのだろなぁと感動し、観ている僕の心も大きく揺さぶられてしまったのです。


どのジャンルの道も綺麗ごとだけではありません。その数倍もの人が持つ負の感情が渦巻いているもの。 自身の持つどす黒い感情(妬み、ひがみ、嫉妬、恨み)に蓋をして、意識的に無意識的に垂れ流している人は僕などを含めこの世には沢山いるのです。しかし、芸事などの表現を生業とする芸人は、真剣に励めば励むほど、自分自身の闇と対峙しなくてはならなくなるのでしょう。 

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鯉栄姐さんが語った言葉でとりわけ印象的だったのは、

「弟弟子・伯山に対する様々な負の感情は、相手に向けられる以上に自分の弱い心を蝕むもの。」


「その感情をエネルギーに出来る者、その感情に潰される者、一回潰されても、もう一度そこから這い上がってこれる者、様々ですよね。」


という言葉。 鯉栄姐さんはおそらく、何度も潰されて、何度もそこから死に物狂いで這い上がってきた方だったのではと、僕は勝手に想像してしまったのです。
自身の心の闇を真っ正面から対峙することは、途方もない勇気と何度も立ち上がることの出来る心のしぶとさと繊細さがなければ不可能。ボ――ッとしながらも60年以上も生きている僕なんかでも、同じような体験や挫折を経験しているからこそ、深く共感してしまったのです。また、その葛藤をごまかすことなく公にさらすことの出来る覚悟、心意気! その姿勢により深く感動したのです。 

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インタビューの最後の言葉。


「もしこの先、白山に何らかの危機が訪れたなら、私は全力で守ってあげたい」


そして翌日の動画で、鯉栄姐さんに対する伯山のアンサー的な言葉。


「技術的には、鯉栄姐さんは僕より遥かに上。でもあの人はそんなこと口にしないでしょう。」


そしてすべてを総括しての伯山の言葉。


「僕たちは家族ですから。」

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漫画《修羅場の人》も面白かったのですが、生身の講談師・神田鯉栄神田伯山の芸人としての心意気を垣間見せてくれた《神田伯山ティービィー》とそのスタッフの芸人さんたちに感謝! 


天晴れ、神田鯉栄!!


日本一、神田伯山!!

おしまい


※追記:伯山先生、爆笑問題の太田光に「ピカソ」の仕返しで、「僕たちは家族ですから。」をイジられぬよう、くれぐれもご注意を!