連続テレビ小説《半分、青い。》 わたくし、楡野鈴愛役《永野芽郁》の魅力のみで毎朝視聴しております。

半分、青い

神聖な朝ドラに、くっついては離れてを繰り返す沢山のラヴロマンスを散りばめた、恋愛ドラマの大家《北川悦吏子》脚本の問題作。 永野芽郁の演技が群を抜いて魅力的。ダテにスマートフォンのCMに、深田恭子&多部未華子と並んで抜擢されていたわけではないのです。

テレビに向かって、一人でツッコミを入れて楽しんでいる朝のひととき。

前作の《わろてんか》のギャグ、ことごとくすべりまくりやないかーーーーーーーーーい!

《半分、青い。》主役の永野芽郁、ムチャクチャ魅力的やないかーーーーーーーーーーい!

永野芽郁、ブサイクなんかい可愛いんかい、どっちなんかーーーーーーーーーーーーーい!

主題歌・星野源「アイデア」やっぱりええやないかーーーーーーーーーーーーーーーーい!

中村雅俊、こんなナルシストのじじぃ、おるわけないやないかーーーーーーーーーーーい!

つくし食堂の五平餅が、全然美味しそうに見えんやないかーーーーーーーーーーーーーい!

松雪泰子が出て来たら、いきなり空気がおもく、暗くなるやないかーーーーーーーーーい!

原田知世、いつ見てもブレンディーやないかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

佐藤健の高校生、ちょっと無理があるんと違うんかーーーーーーーーーーーーーーーーい!

律の恋人、清。いきなりあんなに豹変するんかーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

清の目、マジでメチャクチャ怖いやないかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

やさしかった正人くん、もう消えてしまうんかーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

豊川悦司は、ハマっとるんかハマっとらんのか、どっちなんかーーーーーーーーーーーい!

井川遥、ピンクハウスがムチャクチャ似合っとるやないかーーーーーーーーーーーーーい!

「ウイスキーはお好きでしょ♡」と全然違うやないかーーーーーーーーーーーーーーーい!

ボクテ役の志尊淳は、これからムチャクチャ売れるんやないのかーーーーーーーーーーい!

メシアシの双子のメイドは、このドラマに必要なんかーーーーーーーーーーーーーーーい!

そして鈴愛は、漫画家やめるんかい、続けるのかい、どっちなのかーーーーーーーーーい!

鈴愛と律、最後はどうなるんかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!

からす

前作の《わろてんか》は、吉本のお話なのに全然笑えなくて早々にリタイヤしてしまった僕。今回の《半分、青い。》も、初っぱなの中村雅俊風吹ジュンのじいさんばあさんコンビがどうしても受け入れられず、「ここまでナルシストのじじぃなんか見てられるかーーーい!」と、卓袱台をひっくり返し、これまた早々に心を閉ざしてリタイヤ。その後、一ヶ月程見ていなかったのですが、たまたま付いていたテレビで流れていた、永野芽郁演じる岐阜弁の鈴愛ちゃんを見た瞬間「ムチャクチャ魅力的やないかーーーーーーい!」と、簡単にやられちゃいました、ハイ。

からす

スマートフォンのCMでしか知らなかった永野芽郁。いいですねぇ、かわいいですねぇ、ぶさいくですねぇ、自分勝手ですねぇ、天真爛漫ですねぇ、すばらしいですねぇ、岐阜の山猿!

主人公・楡野鈴愛と、その幼なじみの萩尾律(佐藤健)。この二人の夢と挫折の成長物語。物語は中盤、この記事を書いている時点では、漫画家・鈴愛ちゃん大スランプ。何度やっても、クソみたいなネームしか書けません。その上、萩尾律の結婚を知り、ひどい落ち込みよう(自分でふっといて)。今後はどうなるのか?(それほどワクワクしないけれど…)

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漫画家さんの仕事は想像するだけで過酷。脚本・演出・カメラ(コマ割り)・作画のすべてをこなすオールマイティーな能力を要求されます。たった一人で映画一本を作っているようなもの。この仕事を10年も20年も30年も続けることは、ほんの僅かな選ばれた人間にしか出来ません。もっともっと評価されて然るべき職業だと思うのですが…。

このドラマの脚本家《北川悦吏子》は、恋愛ドラマの大家だったのですね、全然知らんかった。調べて見ると、沢山の恋愛ドラマを書いていて超有名な脚本家なのですね。僕はまったく見たことがないので、なんにも書けないのですが、《半分、青い。》のなかの男女の会話に、「なるほどなーっ」の胸にキュンとくるワードがちりばめられており、納得なのです。

僕は鈴愛ちゃんのキャラクター設定と、それを演じる永野芽郁の女優としての魅力のみで毎日見ているので、正直、物語の展開にはそれほど興味がないのです。物語にどっぷり入り込むことなく、設定や個々の役者さんの演技に、毎朝ツッコミを入れさせて頂いて楽しんいるのです。

律の大学時代の恋人・伊藤清(古畑星夏)の高校時代からの豹変ぶりは凄まじかった。いくら何でも、鈴愛の写真の顔にバッテンの傷を入れるとは…。これ、当時の少女漫画のオマージュかなんかでしょうか? 少女漫画には疎いのでわからないのですが、ここまでコテコテの昭和ドラマ感は見ていて逆に楽しかった。

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あと、おかあちゃん役の松雪泰子映画《フラガール》ドラマ《Mother》などは当たり役で、けっこう好きな女優さんなのですが、いかんせん、超シリアス! この人が画面に映ると、苦悩、挫折、不幸、堕落、絶望などのワードが、頭のなかを駆け巡り(僕だけか?)、暗く切なくなるのです。しかし絶望も前向きに捉えれば笑えてくる(嘘つけ!)もので、頭の中でこれ以上ない絶望の音楽を鳴らし、一人勝手に楽しんでいるのです。

音楽と言えば、このドラマの音楽は素晴らしい! 場面場面でとってもユニークな音が鳴ります。おそらく音楽の菅野祐悟さん、けっこう楽しんでやっているのでしょうね。

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そして主役の永野芽郁

スマートフォンのCMで、深田恭子&多部未華子と並んでいるのを見た時、あまちゃんの能年玲奈(のん)と勘違い。かみさんに絶対能年玲奈だと言い張ってしまい、後で散々バカにされたことで永野芽郁をしっかり記憶するのですが、それほど興味が湧かなくて「朝ドラの主役になったんだぁ」程度のものだったのです。

しかし、しかし、わたくし完全に侮っておりました、ゴメンナサイ! 主人公・楡野鈴愛役にピッタリハマっているのです。この人のために脚本を書いたのかと思わせる程!

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そしてその演技。

このドラマの演技しか僕は知らないので何とも言えないのですが、素晴らしい!

良い役者さんは、共演者の役柄との関係性をその佇まいだけで瞬時に表現できることだと思うのですが(もちろん相手役の力量も必要)、永野芽郁は鈴愛ちゃんを演じる上において完璧なのです。

母(松雪泰子)との親子関係、律(佐藤健)との幼なじみの関係、秋風先生(豊川悦司)との師弟関係など、セリフの裏にある時間と共に築き上げた関係性(歴史)を目の動きや距離の近さ遠さ、言葉尻のニュアンスなどで表現するのです。ある程度、計算してやっているのでしょうが、それだけだと演じている感が剝き出しになるので、相手との何らかの感情やスキンシップの細かいディティールが《鈴愛》という役と共にインプットされているのでしょう。

律の結婚を知った鈴愛が、岐阜のお母さんに電話で尋ねます

「律……、結婚した?」

電話口でのこのセリフとその表情。たった数秒で、鈴愛の複雑な言葉にならない感情と律との歴史が、画面いっぱいに溢れ出します。その後、漫画家としての限界を突きつけられ、徐々に壊れてゆく過程の鈴愛の演技も秀逸なのです。ちゃんと鈴愛のキャラクターで壊れてゆくのです。良くも悪くも無意識に周りを巻き込んでゆき、竜巻のようなエネルギーをまき散らす鈴愛が、何故か愛おしく切なく感じてしまうのは僕だけでしょうか?

物語はいよいよ終盤に突入。

今まで通り、沢山のツッコミをいれながらも、幾重にも重なっているはずの《半分、青い。》の題名の意味を探りながら、今後の展開を楽しみたいものです。

おしまい