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《命名考》8 シンプルな文字の内に、幾千万もの風景と幾千万もの情感が宿る。 それらを感じ取る情緒と感性の豊かさが、人生の意味を教えてくれる。

命名で使用する、漢字・ひらがな・カタカナの文字の中には、幾千万もの意味・感情・衝動が含まれています。記号化されてしまった文字なのですが、それらを注意深く音に響かせ書に記すれば、虹色のグラデーションが現れ、そこから豊かな情緒が育まれます。

詩人《金子みすゞ》の祈りと絶望。自らの命を泥の沼に沈め、死後50年の時を経て、その絶望の沼に一輪の花を咲かせた、金子みすゞの祈りとは?

夭逝の童謡詩人、金子みすゞ。その短い生涯の間に500余編もの詩を綴ります。子供のままの感受性で世界を感じ、純粋無垢な視座から、広く俯瞰した神の視座へダイナミックに移行するその詩編の振り幅は、自身の祈りと絶望の人生に、転写されてしまうのです。