凄まじいばかりのエンターティナー魂。50年歌い続けても尚、その貯金にすがる事無く、新規のファンを求め続ける心意気! ここまで頑固で、真正直に生き抜いているロッケンロールジジィは、清々しくもあるのです。
大盛り上がりのコンサート会場を一瞬にして凍り付かせる、ブラックジュリー。
「あんたらが、いつまでも最前列に陣取るなら、僕は歌い続けていく自信はないよ。」
どの会場でも常に最前列に陣取っている、最古参のジュリーファンのお姉様方に向かって言い放ちます。ネットではこのフレーズだけを切り取られてバッシングされるジュリー。いつもの事なのでしょうが、現場にも行かず、裏も取らず、聞きかじりの情報のみを鵜呑みにしただけのネット記事のなんと多いことか。
ジュリーは常々語っております。
「常に満員のお客さんの前で歌う事を目標にしてきたのだけれど、人気が低迷していたCo-coloの時、小さいハコでやろうとしたことがありました。 しかしそれだとファンしか集まらない。とっても嫌いなんです。いつもファンだけというのは嫌いなんです。ファンじゃない人がいないと厭なんです。同じファンだけの前でやるのは地獄です。50年歌をやって来て、70歳にもなった人間なので、今後、何をしようと許されるジジイでいたい。」
身も蓋もないほどに真っ正直なお言葉。さすが生粋のエンターティナー!
媚びないのです、アイドルなのに。
バカ正直なのです、アイドルなのに。
頑固なのです、アイドルなのに。
ジュリーはデビュー以来50年、1ミリたりとも変わっていません。50年やってきても尚、「新しい観客に新しい曲を表現したい、伝えたい。」「一人でも多くの人に自分の歌を知らしめたい 」という、エンターティナーとしての瑞々しい衝動を保ち続けていることに驚愕するのです。
《コップの中の嵐》の如く観客持ち回りで、ジャンル内で、ちまちま自己満足をやっている人達に聞かせてあげたい!
こんなチンケなブログでも、知り合いではなく、見ず知らずの方々に多少なりとも読んで頂いていることは、ブログを続ける上で一番のモチベーションとなるのです(ありがとぉーねぇー!)。
ここで、古いお話で恐縮なのですが、ジュリー狂の私の母親(随分前に他界)と姉が、40年ほど前のジュリーのコンサートで体験した、ジュリーの本質を表すエピソードを一つ。
https://blog.akiyoshi-zoukei.com/katsu/post-875
記憶は定かではないのですが、ジュリーがソロデビューしたての頃のお話。
ジュリーのコンサートを観て帰宅した母と姉。興奮はしてはいるのですが、いつもと少し様子が違います。いつもなら延々と《ジュリーが如何にカッコ良かったかシリーズ》をまくしたてる二人なのですが、今日は可哀想に思えたファンの女の子の話を延々とやっているのです。
いつもの《ジュリーが如何にカッコ良かったかシリーズ》にはまったく興味の無かった僕なのですが、《可哀想に思えたファンの女の子》の話に興味をそそられ、聞き耳を立てていますと、その話の全容が見えてきます。
再現してみますと以下の通り…。
その時のジュリーの地方コンサートは、歌の合間に地元の局の女子アナがMCで入り、《ジュリーに質問》なる質疑応答のコーナーがあったそうです。そこで選ばれた、一人の女の子の質問で起こった出来事。
女子アナ お名前は?
女の子 じゅん子(仮名)です。
女子アナ では、じゅん子ちゃん、ジュリーにお聞きしたい事は?
じゅん子 質問ではないのですが…。
女子アナ 何でも良いですよ、言ってみて?
じゅん子 わ、私、今高校3年生で、来年大学受験なんです。
女子アナ そうなんだ、じゃあ今、一生懸命勉強頑張っているのね。
じゅん子 はい。そ、それでジュリーに「じゅん子、受験勉強頑張れ!」って言ってほしいんです。
女子アナ そうかぁ、ジュリーにそう言ってもらえると、より一層頑張れると。
じゅん子 はい…。(顔を真っ赤にして恥ずかしそうに)
女子アナ はいわかりました。それでは、ジュリー、こんな可愛いじゅん子ちゃんに「じゅん子、受験勉強頑張れ!」って言って頂けますか? 3・2・1 (満面の笑みで)どうぞ!
ジュリー 言えません!
ズコーーーーーーッ!
会場全体が一斉にズッコケると同時に、一瞬にして凍り付きます。
女子アナ い、いや、ジュ、ジュリー、そんな冷たい事言わないで、一言「受験勉強頑張れ!」ってじゅん子ちゃんに言ってあげて頂ければ…
ジュリー 受験勉強はあなた自身が頑張るのであって、他人の僕が応援しても受かるものではありません。(キッパリ!)
既にじゅん子ちゃんは、涙目となって俯いております。
女子アナ そ、そうは言ってもですねぇ、大好きなジュリーに一言、言ってもらうだけでじゅん子ちゃんは、より一層勉強をガンバ…
ジュリー (遮るように)僕は受験勉強をやった事がないし、経験のない人間が軽々しくそう言う事は言えません!
女子アナ い、いや、経験とかそう言う難しい事ではなくてですね、一言頑張れと…
ジュリー 言えません!(再びキッパリ!)
取り返しのつかないほどに静まり返った会場。
じゅん子ちゃんは泣き出してしまい、どうする事も出来ないまま、MCの女子アナまで
涙目となり、《ジュリーに質問》なるコーナーはそこで終了。
ブラックジュリーを始めて見た、母と姉も呆気にとられていたそうですが、当のジュリーは、何事もなかったかの様に、その後も歌い続けたそうです。
どうですか皆さん! 当時からジュリーは気持ちよいほどブレていないのです!
こんな感じで50年に渡って鍛え抜かれて来た古参ファンのお姉様方は、 その言動全てを含めて、ジュリーのファンなのです。逆に叱られると喜ぶほどのマゾ体質(これはちょっと言い過ぎか?)に仕込まれているのであり、これくらいの事でへこんでしまうほどヤワではありません。
しかしながら、誤解してもらっては困るのです。
けっして古参のファンをないがしろにしているわけではなく、50年間歌い続けてこれたのは、長年応援してくれているファンの御蔭だと、どのコンサート会場でも何度もお礼を言って感謝しているのです。 が、しかぁーーし、ひとたび度が過ぎる無礼なファンが現れますと、瞬時にブラックジュリーに豹変し、今流行の忖度など一切せず、正論をどストレートに言い放ち、しまいには「出て行け!」と、怒鳴りつけるのであります(これも快感か?)。
そんな超怖いジュリーだとわかっているはずなのですが…。
これまたジュリーが全盛期の頃の、お話。
学習能力皆無、遊ぶ事しか頭に無い、地域で有名なアホ高校に通うジュリーファンの姉は 、何故かジュリーの情報を得る人脈だけは豊かで、今日も嘘か本当か解らないネタを携えて、何時もの如く、転がり込む様に帰宅します。
姉 母ちゃん!母ちゃん!母ちゃん! 母ちゃんちゃ!
母 うるさい! 一回言えばわかる、何ね。
姉 電話!電話!電話! 電話番号!
母 だけ一回言えばわかるっち言いよるやろっ、電話がどうしたんね?
姉 電話番号がわかったんよぉーーーーっ!
母 だけ、誰の!
姉 それでは発表しまぁーーす! あのジュリー様のマンションの電話番号がぁ、とうとう、わかってしまったのでありまぁーーーーーーす!
側で聴いていた僕の心の声 アホか? どうせガセに決っとる。
母 ウソやろ、そんなんデタラメに決っとるやん。
姉 本当ちゃ。友達が間違いないち言いよったもん。
母 あんたの友達の情報、嘘ばっかりやんね。
姉が持ってくるジュリー情報のほとんどがガセであったのですが、ごくたまに本物が混じっている事もあるので、母親も全否定は出来ません。
姉 ちょっと、あたし電話してみるけん。
姉はメモを見ながら、当時のダイアル式の黒電話(気持ち悪い、フリフリのカバーを掛けられた)で、ジーコ、ジーコやっています。
僕の心の声 100歩譲って、その電話番号が本物やったとしても、今をときめくスーパーアイドル沢田研二が、夕方のこんな時間に自宅に戻っとる訳けないやろ。
母親は何も語らず、ただ傍観しております。
姉 あたし、ドキドキして電話しとるのに、誰も出らんよ、母ちゃん。
母 あんたがドキドキしとるのは関係ないやろ、コールはしとると?
姉 うん、コールはしよる。
僕の心の声 どうせ、何処の誰かわからん家で電話のベルが鳴り響きよるんやろうね。
姉はその後何度か試してみたものの、コールが鳴るだけで誰も出ません。で、「寝る前に最後の挑戦」と言いつつ、夜の11時頃にかけた電話が、遂に繋がってしまったのです!!
電話口 ハイ、沢田です。
姉 え?
な、な、なんとその電話番号は、本当にジュリーのマンションの電話番号で、尚かつ奇跡的にジュリー本人が出てしまったのです!
姉 えっ、えっ、あの、どちらの沢田さんで…。
ジュリー …。
姉 い、いや、あの、で、電話がジュリーで、私のジュリーが…
ジュリー …。
自分で電話しといて、なんちゅう切り返し! 姉の慌てぶりにジュリー本人だと気づいた母は、有無を言わさず姉から受話器をむんずと奪い取ります。
母 夜分に本当に失礼いたしました。
何処から出しているのか、生まれてこのかた聞いた事もない、超よそいきのマダム声。
母 申し遅れましたが私、福岡の○○というもので御座いまして、娘と私があなた様の大ファンで御座いまして、知り合いからこの番号を教えて頂き、失礼とは思いつつもお電話をさせていただいた次第でして…
ジュリー 今帰って来て、これから寝る所だったんです。
母 お疲れの所、本当に申し訳ありませんでした。これからも親子共々あなた様を応援させていただきますので、くれぐれもお身体をご自愛頂き、今後の益々のご活躍を祈っております。
ジュリー はい……。
母 それでは失礼いたします ガチャ。
しばしの間
母 ぎぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!心臓が爆発しそうやった!! 死ぬかと思った!! あんた、話したとよジュリーと! 直接話したんよぉーーーーっ! ジュ、ジュリーと!
姉 何でいきなり私から受話器取ったとーーーっ!
母 あんたが何も言えんでアワアワしとったけ、助けてやったんやろっ!
姉 あれから、ちゃんと話そうち思いよったのにーーっ!
母 なん言いよるね、私が代わってやったけ、怒られんですんだんやろっ!
姉 そんで、何ち言いよった? ねぇ、ジュリー何ち言いよったと?
それから一晩中、興奮した親子のアホな会話が続くのですが、僕はあっけにとられて何も言えませんでした。この話、僕が間直でこの目で見ていたので、本当に本当の話なのです。
今思うに、その時のジュリーは、仕事からクタクタになって帰宅して、いきなりの電話で、まともな思考が出来なくなっており、うわのそらで対応していたのだと思います。ファンからのいきなりの失礼な電話に、その時は怒鳴る気力も残っていなかったのでしょう。
怖いもの知らずのアホな姉が起こした奇跡的なエピソードなのですが、これを境に、母親のジュリー狂に、凄まじいターボがかかってしまうのです。
このように(どのようにだ?)ジュリーこと沢田研二は、その信念を曲げる事なく歌い続け、デビュー50年目にしても尚、全国66カ所の大ホールで満員の客を前に、現役の歌手として(まだ進化している)ツアー中なのであります。(こんな歌手、他にいません!)
年々艶の増す歌声で、どの会場でも何と50曲(それぞれ短いバージョン)を2時間半から3時間にわたって歌ってくれているそうで御座います。そして最古参ファンのお姉様方も、ちっともメゲずに全国津々浦々、絶賛追っかけ継続中で御座います(ガンバレ、マダム達!)。
で、何と私、新たな縁をいただき、チケットを譲っていただきまして、11/27(月):鳥栖市民文化会館大ホールにて開催される《沢田研二 50周年記念 LIVE 2017~2018》、ぼっち参戦が決定いたしまたぁーーーーーーーっ!(ドンドン、パチパチ、ヒューヒュー!)
何と40年ほど前に《第20回日本レコード大賞授賞式》を観て以来の二回目の生ジュリーで御座いまして、今年60のジジイが今年69のロッケンロールジジイを母親の遺影を携えまして、しかと見届けてまいる所存でございます。
《沢田研二 50周年記念LIVE 2017~2018・鳥栖市民文化会館大ホール大会》参戦記、記事を上げる予定ですので、良ければ覗いてやって下さい。
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